本記事の内容
本記事は、新理系大学生、特に数学に関係ある新理系大学生について、「どの講義が重要か?」、「気をつけること」、「どういう講義内容か?」ということをお伝えする記事です。
本記事を読むに当たり、特に必要な知識はありません!
まっさらなお気持ちで読んでいただければと思います。
まずはご挨拶
この記事を書いているのは3月の末ですので、ご覧いただくタイミングによっては未だ大学に入学されていない方もいらっしゃると思いますが、まずは
大学受験はどうでしたか?
大変でしたよね….かくいう私もかなり勉強したことを覚えています。
朝起きて、ご飯を食べ、学校へ行き、授業を受け、スキマ時間に勉強をし、帰宅中も勉強をし、帰宅してからもご飯やお風呂以外はずーっと勉強していたのではないでしょうか。
お疲れさまでした。
まさに勉強漬けの毎日だったかと思います。
「これで勉強も終わりだ!」と一息つくのも良いでしょう。
私は受験勉強で我慢していたあらゆる娯楽に手を出していました。
ゲームとかね。
あとは、目一杯寝る、とか。
しかし、大学生になったからといって勉強が終わるわけではありません。
むしろより専門的な勉強が始まるのです!
本ブログでは数学をメインに扱っていますので、大学での数学についてちょっとしたイントロ、豆知識等を紹介し、素晴らしいスタートダッシュを送れるように筆者の経験をお伝えします。
大学は楽しいところだよ
結論、「大学は楽しい」です。
なぜなら、高校の時と比べて圧倒的に自由だからです。
講義の出欠は自由!(講義、担当教授に依ります)
授業(講義)にもよりますが、出席を取らない講義もあります。
特に理系だとそういう講義が多い印象にあります。
つまり、言ってしまえば
のです。
こういうことを言ってしまうとあまり良くないのかもしれませんが、実際そうなのです。
出席するも欠席するも個人の自由なのです。
「じゃあ、どうやって成績がつくの?」というと、単にテストの点数ということになります。
これも講義によりますが、中間試験を実施し、中間と期末の双方の点数で成績評価するわけです。
実は、中間試験を実施せず、期末試験のみの講義もあります。
期末試験のみの講義は怖いなあと今でも思います…
その分毎回の講義をしっかり理解する必要があります。
とはいえ、講義内で全てを理解するのは、私の経験から不可能と言って良いでしょう。
脅すわけではありませんが「え?この講義、何一つ分からん」なんてこともザラにありました。
1コマの講義の中で1つも分からず板書を写すので精一杯な講義があったり色々です。
故に、講義の後、図書館などで復習する必要があります。
でも、皆同じ状況です。
たまに「本当に、同じ大学の同級生か?」と疑うような非常に賢い人がいて「すげえな」と感服することはありますが…
他にも楽しいこといっぱい(サークル、アルバイト、同好会など)
楽しさは大学内だけではありません。
サークルや同好会、あるいは部活動、そしてアルバイトに興じることも楽しさの一つです。
筆者はサークルに属しませんでしたが、少々後悔しています….
筆者は1つの大学しか卒業しておりませんので、少々偏っているかもしれませんが、大学内の組織には大きく分けて4種類あります。
- 部活動(大学公認が多い)
- 体同連(体育同好連合会)
- サークル、同好会
- 委員会
委員会は特殊ですが、「何が違うのか?」というと「ガチ度」が違います。
筆者の印象ですが、
括り | ガチ度 |
部活動 | 相当ガチ |
体動連 | 割とガチ(だけど楽しさも求める) |
サークル、同好会 | 「楽しもうぜ!」 |
委員会 | 比較的ガチ |
という感じです。
例えば、筆者が卒業した大学でいうと、部活動では「競走部」という部活があり、箱根駅伝にも出るくらいのガチ度です。
正式に大学の名前を背負って試合をする、という感じです。
自分が「どれくらいのガチ度でやりたいか」で選ぶといいと思います。
ちょっとここでまとめ
要するに、
ということです。
勉強に100%の精を出しても良いし、サークルやアルバイトに興じても良いし、何でも良いのです。
ただ、そのツケは自分で支払うことになる、ということなのです。
先輩としてちょっとだけアドバイスすると、100%である必要はありませんが、勉強にウエイトを置くのが良いと思います。
なぜなら、その後の人生の選択肢が広がるからです。
勿論、サークルやアルバイトでしか得られない経験もたくさんあります。
故に、「自分に合ったうまい比率を見つけよう!」と言いたいのです。
講義について(一般的な話)
では、講義について経験談を交えて述べます。
1講義あたり、1週間に1回!
高校までは、一週間に何回も数学やら国語やら英語やらの授業がありましたよね。
しかし、大学では1講義あたり、1週間に1回しかありません。
講義が終わると「では、また来週」という感じです。
これも地味ですが高校までと違うところです。
大学での授業(講義)の時間は90分!
なんとなんと、一般的な大学の授業(大学では”講義”と呼びます)は90分!
非常に長いです。
通われていた高校にも依存するのでしょうが、筆者の高校は1コマあたり50分で10分の休憩がありました。
それがだいたい1日6コマくらいで、16時とか17時には帰路につくことができます。
しかし、大学の講義は1コマあたり90分ととてつもなく長いです。
入学したての頃は「え、なにこれ。いつまで経っても終わらねえじゃん」と思っていました。
まあ、嘆いたところで「1コマ90分」という事実は変わりませんし、慣れますがね(笑)
前章で述べた「講義内で全てを理解することは不可能と言って良い」という理由の1つです。
まず、90分の講義に最初から最後まで集中し続けるということが難しいです。
そして、1コマ90分ですから、1コマあたりの講義の進度が高校に比べて圧倒的に早いです。
それ故、自分で復習する時間が必要になります。
尋常じゃないくらい早く板書を書く教授がいる。
言葉が非常に悪いですが、「お前、本当に俺らと同じ人間か?」と疑いたくなるような信じられないスピードで板書を書く教授がいます。
勿論、全員ではありませんよ。
筆者と同世代ならご存知のドラゴンボールに登場する天津飯の四妖拳(しようけん)を使ってるんじゃないか?と思ったほどです。
(勿論、そんなヤバい人はいないわけですが)
筆者の経験では、1コマあたり、高校の黒板で30枚分書かれた講義がありました。
最後の方は腕が痛くなって字がうまく書けませんでしたし、ノートを見ずに黒板を見続けて手だけノートの上を走らせて板書を取る、ということもありました。
ちょっとここで軽くまとめ
大学の講義の話ですが、結構脅してしまったかなと思います。
「大学の講義ってこええ…」 と思った方も多いのではないでしょうか。
でも大丈夫。
みんな同じ状況です。
確かに単位を落とす人もいますし、大学に来なくなる人もいます。
ただ、80%以上の人がちゃんとストレートで卒業できます。
故に、大学生活は難しくないのです。
大丈夫、受験勉強を乗り切った皆さんですから、しっかり乗り切れます。
※数学系の方必見※ 結論:集合、写像、論理の講義が最重要
さて、ようやっと本題です。
そうなのです。
筆者の周りで数学系の学科を卒業した人は口を揃えて言います。
と。
「なんだそれは?」となっているかと思います。
詳しくは後述します。
大学初年度で学習する数学は大きく分けて3種類あります。
これは大学や学科に依存しますが、筆者の体験談としてお話します。
大学初年度で学習する数学は、大きく分けて次の3種類があります。
- 集合・写像・論理
- 解析学(の初歩)
- 線形代数
勿論、どの講義も重要です。
「集合・写像・論理の講義だけ頑張れば良い」と言っているわけではありません。
大学初年度は、大学2年じ以降のより専門的な数学を学習する上での基礎固めですので、どれも重要です。
しかしながら、筆者を含む数学系の大学を卒業した人は基本的に口を揃えて「集合・写像・論理が大事だ」と言います。
では、上記の3つがそれぞれどんな分野であるかということを軽く説明します。
※必見※ 集合・写像・論理はどんな講義?なぜ最重要なのか?
まずは、「なぜ最重要なのか」ということについてお話しましょう。
結論としては、
です。
要するに、「数学における言語が集合・写像・論理」なのです。
この理由を分けて解説します。
なぜ最重要なのか? 理由その①:論理記号を使いこなす必要があるから。
一番手っ取り早いのは、本屋さんで何か数学の専門書を手にとって中身を見てみて下さい。
例えば、解析の分野でいえば、
実関数の収束 \(I\)を\(\mathbb{R}\)の区間、\(f:I\to\mathbb{R}\)を写像(関数)、\(a\in\bar{I}\)、\(A\in\mathbb{R}\)とする。\(x\to a\)のとき\(f(x)\)が \(A\)に収束する(このことを\(f(x)\to A\ (x\to a)\)と表す)とは、 $$(\forall \epsilon>0)(\exists \delta>0)\ {\rm s.t.}\ (\forall x\in I:0<|x-a|<\delta\Rightarrow |f(x)-A|<\epsilon)$$ が成り立つことをいう。 \(A\)のことを\(x\to a\)のときの\(f(x)\)の極限と呼び、 $$\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=A$$ と表す。 また、\(x\to a\)のときに\(f(x)\)が極限を持つ(あるいは「\(f(x)\)が収束する」)とは、ある\(A\in\mathbb{R}\)が存在して、\(x\to a\)のときに\(f(x)\)が\(A\)に収束することをいう。
というように書かれていると思います(本にも依りますが)。
そもそもこれは何を言っているかというと、高校数学的には
ということです。
そもそも、上記のような堅い言い回しを論理的に正確に捉えることが難しいわけですが…
そして、最たる疑問の種は
$$
(\forall \epsilon>0)(\exists \delta>0)\ {\rm s.t.}\ (\forall x\in I:0<|x-a|<\delta\Rightarrow |f(x)-A|<\epsilon)
$$
でしょう。
「何だこれは」と思いませんでしたか?
筆者は初見のとき「ナニイッテンダ」とパッパラパーでした。
このような\(\forall\)やら\(\exists\)やら\(\Rightarrow\)やらを論理記号と言います。
数学書を読んだり参照したりするとこの論理記号の羅列が当然のように出現します。
そして「勿論知ってるよね?」という感じで特に説明もなく話が進みます。
つまり、「論理記号の読み書きができることが前提」というわけです。
当然、論理記号やら論理そのものを解説する本にはしっかり記述と解説がありますが。
このように、論理記号という“記号”を正しく読み書きできる必要があるから、というのが理由その①です。
なぜ最重要なのか? 理由その②:正しい論理を知る必要があるから。
例えば次のような主張を証明しなさいと言われたとします。
空集合は任意の集合の部分集合である。
空集合も部分集合も高校数学で学習していると思いますが、復習がてら述べます。
空集合というのは、「要素が1つも存在しないような集合」のことです。
集合\(A\)が集合\(B\)の部分集合というのは「集合\(A\)の要素がすべて集合\(B\)の要素でもある」ときを言います。
またこのとき、「\(A\)は\(B\)に含まれる」と表現されます。
つまり、この問題は
ということを証明しなさいということです。
「え?要素が1つもないのに含まれる?どういうこと?」となるのではないでしょうか。
実は、この主張は論理で正しく証明することができます。
このように想像できないような事柄を証明せよ、といわれることが数学ではよくあります。
その背景には論理があり、正しく論理のルールをわかっていないと証明できませんし、主張を理解することもできません。
このように「想像できない」ような主張を論理的に処理するために正しい論理を知っている必要があるから、というのが理由その②です。
なぜ最重要なのか? 理由その③:数学の主張は集合・論理・写像の言葉で書かれているから。
これは最初に述べたのと同じことですが、次の主張を例にとって見てみます。
定理1.(関数の和・差・積・商の極限)
\(I\)を\(\mathbb{R}\)の区間、\(f:I\to\mathbb{R}\)および\(g:I\to\mathbb{R}\)を関数、\(a\in\bar{I}\)、\(A,b\in\mathbb{R}\)とし、\(\displaystyle \lim_{x\to a}f(x)=A\)、\(\displaystyle \lim_{x\to a}g(x)=B\)とする。 このとき、次が成り立つ。- \(\displaystyle \lim_{x\to a}(f(x)+g(x))=\lim_{x\to a}f(x)+\lim_{x\to a}g(x)=A+B\),
- \(\displaystyle \lim_{x\to a}(f(x)-g(x))=\lim_{x\to a}f(x)-\lim_{x\to a}g(x)=A-B\),
- \(\displaystyle \lim_{x\to a}f(x)g(x)=\left(\lim_{x\to a}f(x)\right)\cdot\left(\lim_{x\to a}g(x)\right)=AB\),
- \(B\neq0\)ならば、\(\delta_0>0\)が存在して、\(|x-a|<\delta_0\)なる\(x\in I\)に対して、\(g(x)\neq 0\)で、\(\displaystyle \lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}=\frac{\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)}{\displaystyle\lim_{x\to a}g(x)}=\frac{A}{B}\)
これも、高校で習った事実です。
関数の極限の和・差・積・商は、和・差・積・商の極限と一致するという主張です。
例えば、
$$
\lim_{x\to2}\left( x^2+3x\right)=2^2+3\times 2=4+6=10
$$
というように計算できるのは、
$$
\lim_{x\to2}\left( x^2+3x\right)=\lim_{x\to2}x^3+\lim_{x\to2}3x
$$
が成り立っているから、ということです。
確かに言われたらば「ああ、それね」となると思いますが、初めて見たときはどうでしょう。
「え、なにこれ」と思いませんでしたか?
では、定理1.のどの部分が集合の言葉で、どの部分が論理の言葉で、どの部分が写像の言葉なのかを見ていきます。
こんな感じです。
このように、集合・写像・論理の言葉で書かれているため、それらを理解していないとそもそも主張が理解できないどころか読めないという話になるのです。
集合・写像・論理はどんな講義?(本ブログで解説しています!)
もうお分かりかと思いますが、上記のような論理のルール、集合の言葉、写像の言葉を学ぶのが集合・写像・論理の講義です。
筆者は最初、非常に苦労しました。
というのも、高校数学では言ってしまえば「計算ができればそれで良い」という話であり(これは賛否両論でしょうけれども)、論理と集合はサラッとしか扱われていなかったのに対し、大学数学ではむしろ論理と集合と写像が主役になっているからです。
つまり、平たく言えば、今まで真面目にやってこなかったことを真面目にやりなさいといきなり言われたわけです。
それ故苦労しました。
そんな苦労は皆さんにしてほしくありません。
本ブログでは集合・写像・論理の話を丁寧に解説していますので、ぜひ以下のURLからスタートダッシュを決めて下さい!
↓論理の記事
↓集合の記事
↓写像の記事
解析学ってどんな講義?
解析学というと非常に範囲が広いのですが、大方
- 実数の連続性
「実数とは何か?」ということを皮切りに、「実数の数直線には一切の“すき間”がない」ということを学びます。
この連続性、すなわち“すき間がない”という性質があるから、極限を考えることができます。
自然数、整数、有理数、無理数だけの集合では極限を考えることができません。
(【解析学の基礎シリーズ】実数の連続性編で丁寧に解説しています!) - 数列の極限
「\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=a\)とは何か?」ということを厳密に学びます。
つまり、「極限とは何か?」や「収束するとはどういうことか」を厳密に学びます。
高校では「\(a\)が限りなく大きくなるとき、数列\(a_n\)が限りなく\(a\)に近づく」というような表現で説明されていましたが、「“限りなく”とは?“近づく”とは?」などの疑問が生まれないような厳密な極限を学びます。
(【解析学の基礎シリーズ】実数の連続性編で丁寧に解説しています!) - 関数の極限
平たく言えば、数列の極限の関数バージョンです。
数列は「最終的に値がどうなるか?」という\(n\to\infty\)のときに興味があったのに対し、関数の極限では\(x\to a\)というように局所的な値にも興味があります。
(【解析学の基礎シリーズ】関数の極限編で丁寧に解説しています!) - 微分法
微分係数などは極限で定められていますが、そもそも高校数学で極限が厳密に語られていないため、ここで微分の厳密な話をします。
また、偏微分という変数が複数あるような関数の微分法も学びます。
“計算する”というよりは“定理を証明する”という高校数学での微分法とは毛色が違います。
さらに、微分法を使うことで関数の特徴をより精密に捉える術も学びます。
(【解析学の基礎シリーズ】1変数実数値関数の微分編で丁寧に解説しています!) - 積分法
微分法と同じで、積分も極限で定められているため、ここで厳密な話をします。
また、重積分という変数が複数あるような関数の積分、変数変換、などなど高校数学で学んだ積分よりも次元が上がった(例えば3次元とか)話をします。
これは微分法に比べれば比較的計算もありますが、基本的に論証です。
次元が上がることで一気に難易度が上がります。
(【解析学の基礎シリーズ】積分編で丁寧に解説しています!)
を学びます。
微積分については、解析学と講義が別れている場合も多くあります。
これらについても本ブログでは丁寧に解説しています!
先のURLから是非スタートダッシュを決めて下さい!
線形代数ってどんな講義?
平たく言えば、
です。
ちなみに“線形代数”と書いたり“線型代数”と書いたりします。
どっちも正解ですが、近年は“線形代数”という表記が一般的です。
また、線形空間の講義は線形代数と別れていることもあります。
筆者の時代は行列は高校で学んでいました。
しかし、今は学んでいないようです。
その代わり複素平面などを学んでいるようですね(私は高校で学んでいませんでした)。
行列?
そもそも行列とはどんなものかというと
$$A=
\begin{pmatrix}
1&2\\
3&4
\end{pmatrix}
$$
こんな感じのものです。
勿論
$$A=
\begin{pmatrix}
1&2&5&6\\
3&4&7&8\\
9&10&11&12
\end{pmatrix}
$$
だったり
$$
\begin{pmatrix}
a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}\\
a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}\\
\vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\
a_{m1}&a_{m2}&\cdots&a_{mn}
\end{pmatrix}
$$
など\(m\)行\(n\)列のようなものも出てきます。
線形代数を学ぶ大きな目的が「行列の対角化と三角化」だと思います。
どういうことかということをサラッと述べると、対角化というのは
$$
\begin{pmatrix}
a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}\\
a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}\\
\vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\
a_{n1}&a_{m2}&\cdots&a_{nn}
\end{pmatrix}\longrightarrow
\begin{pmatrix}
a_{11}^\prime&0&\cdots&\cdots&0\\
0&a_{22}^\prime&0&\cdots&0\\
\vdots&0&\ddots&\ddots&\vdots\\
\vdots&\vdots&\ddots&\ddots&0\\
0&0&\cdots&0&a_{nn}^\prime
\end{pmatrix}
$$
というように、左上から右下への斜めの成分以外を全て\(0\)となるように変形することです。
また、三角化は
$$
\begin{pmatrix}
a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}\\
a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}\\
\vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\
a_{n1}&a_{m2}&\cdots&a_{nn}
\end{pmatrix}\longrightarrow
\begin{pmatrix}
a_{11}^\prime&a_{12}^\prime&\cdots&\cdots&a_{1n}^\prime\\
0&a_{22}^\prime&a_{23}^\prime&\cdots&a_{2n}^\prime\\
\vdots&0&\ddots&\ddots&\vdots\\
\vdots&\vdots&\ddots&\ddots&\vdots\\
0&0&\cdots&0&a_{nn}^\prime
\end{pmatrix}
$$
または
$$
\begin{pmatrix}
a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}\\
a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}\\
\vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\
a_{n1}&a_{m2}&\cdots&a_{nn}
\end{pmatrix}\longrightarrow
\begin{pmatrix}
a_{11}^\prime&0&\cdots&\cdots&0\\
a_{21}^\prime&a_{22}^\prime&0&\cdots&0\\
\vdots&\ddots&\ddots&\ddots&\vdots\\
\vdots&\vdots&\ddots&\ddots&0\\
a_{n1}^\prime&\cdots&\cdots&\cdots&a_{nn}^\prime
\end{pmatrix}
$$
というように、対角線から下の成分を全て\(0\)に変形したり、対角線から上の成分を全て\(0\)に変形したりすることです。
なぜこんなものが必要になるのかというと、
です。
「なーんだ。連立方程式を解くためなのか。」と思うかもしれませんが、この概念が後に学習するであろいう微分方程式に大いに活きてきます。
例えば熱伝導方程式やらと現実の世界の現象を表す数式を解いたりするときに大いに役立ちます。
また、昨今話題の機械学習やAIは本質的に線形代数を行っています。
以下の記事で丁寧に解説していますのでぜひスタートダッシュを決めて下さい!
線形空間?
線形空間を一言で言えば、
です。
高校でベクトルは
と習ったと思います。
それゆえ\(\vec{AB}=(1,2)\)のように複数の数の組のことを指しているという印象があると思います。
しかし、ベクトルというのはこれだけではありません。
関数だってベクトルになりえます。
どういうことか?というと、「線形空間の要素をベクトルと呼ぶ」というのが本当の意味です。
この線形空間で重要な概念が線形独立(一次独立)と線型従属(一次従属)だと思います。
線形空間は実数の集合を一般化(抽象化)したものでもあります。
つまり、「何かよくわからない集合だけども、実数の集合と同じようなことができる」集合について考えているわけです。
例えば、\(xy\)平面を考えてみましょう。
\((1,0)\)と\((0,1)\)というベクトルを考えます。
このとき、平面上のどの点も\((1,0)\)と\((0,1)\)の線形結合で表すことができます。
つまり、\(xy\)平面のどんな点\((a,b)\)も
$$
(a,b)=a(1,0)+b(0,1)
$$
と書けます。
それゆえ\((a,b)\)を座標と呼ぶ事ができるのです。
このように、何か基準を決めてしまえば、集合のどの点もその基準に則って記述できるわけです。
これは「何かよくわからない集合」に一つの秩序(基準かな?)を入れることで集合の全体像が見やすくなるのです。
こういうことを学ぶのが線形空間です。
以下の記事で丁寧に解説していますのでぜひスタートダッシュを決めて下さい!
で、結局どれをやればいいの?全部?
全部が望ましいのですが、最重要なのは上述したとおり
です。
これができないことには解析学も線形代数も入門できないといっても言い過ぎではないと思います。
書籍紹介!
必要になったらその都度購入するのがいいかもしれませんが、今のうちに買ったほうがいいと思います。
「図書館にあるんじゃないの?」と思うかもしれません。
たしかにあります。
ただ、1冊しかなかったりしますし、テスト期間やらレポート期間にはすでに貸し出されて読めないことがザラにあります。
だったら、最初から買っておこう、という話なのです。
集合・写像・論理の本
1冊目の松坂和夫著『集合・位相入門』は有名な名著ですので1冊は持っておきたい本です。
そして、2冊目はお堅い論理の話を噛み砕いて説明してくれる初学者にはうってつけの本です(実は筆者もこの本で学びました)。
解析学の本
どれも良い本なのですが、個人的には杉浦光夫著の『解析入門Ⅰ』はあらゆる本で引用されている現代解析学の名著です。
是非1冊持っておきたい本です。
通読が望ましいですが、辞書的な役割として持っておくのがおすすめです!
線形代数の本
どれも良い本です。
個人的には川久保勝夫著の『線形代数学』(緑のやつ)です。
私はこれで学びました。
ちなみに、齋藤正彦著の『線型代数入門』も有名です。
これも是非1冊持っておきたい本です(私も持ってます)。
余談
一人暮らしって大変ですよね。
筆者の恥ずかしい思い出話を一つ。
大学入学を控えた3月末、地元から大学のある地へ(といってもキャンパスから電車で30分ほど離れたところ)に引っ越しました。
私は東北地方出身だったということもあるのでしょうが、引越し先の風土が身体に合わず体調を崩しました。
非常に寂しかった思い出があります。
「俺、このまま終わるんじゃないか…」と卑屈になりました。
そんなとき、さすが親だなと思いましたが、実家から荷物が届きました。
そこに母の字で私の名前と住所が伝票に書いてありました。
それを見た瞬間、泣いてしまいました。
ホームシックです。
誰一人知り合いがおらず、誰にも頼ることもできず、非常に寂しく悲しい思いをした経験です。
それでも気合で体調を治し、無事大学へ登校しました。
一切の知り合いがいなかったので、隣りに座った人などたくさん話しかけて友達を作りました。
今思うと我ながら頑張ったかなと思います。
以上、恥ずかしい話でした。
結
期待と不安が入り混じっていることと思います。
散々脅すようなことを書きましたが、実際は大学は非常に面白いところです。
一人でも面白いですし、複数人でも面白いです。
個人的には複数人のほうが面白いと思います。
朝まで遊んだりといろいろできますし、楽しいですよ。
ただ、はやり勉学も疎かにできません。
本ブログで大学数学の良いスタートダッシュを切ってほしいと思います。
最後に、私の記憶を大学入学時までさかのぼってみました。
たくさんの思い出があります。
それこそ数え切れないほどに。
一方で、中高の思い出を思い出してみると、色々出てきますが正直なところ楽しさで言えば大学に遠く及びません。
それほど楽しいのです、大学は。
充実した大学ライフは個人によって異なると思いますが、遊びも勉強も目一杯楽しむ!というのが充実なのではないでしょうか。
皆さん、是非楽しい大学生活を送って下さい!
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