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(数セミ)”エレガントな解答をもとむ”に1時間で挑戦!【1時間チャンジシリーズ】挑戦④

1時間チャレンジ

本記事の内容

本記事は『数学セミナー』(日本評論社)に掲載されている”エレガントな解答をもとむ”に出題されいている問題に、1時間で解けるか、という挑戦をする記事です。

本記事を読むにあたり、前提知識は基本的に必要ありませんが、以前紹介した記事の内容を使う場合はその旨を記述することにします。

今回は「エレガントな解答をもとむ selections」に掲載されいている問題です。

問題①

今回は魔法陣の問題です。
実は、筆者は魔法陣なるものを存在は知っていましたが、解いたことがありませんでした。
「なんだっけそれ?」という状態からのスタートでした。

1997を3つに分けて19と9と7とすると、これらは全て奇数です。そこで図のように1997を3ますに配して、1から31までの奇数を各1個用いた四方陣(魔法陣)を作りたいと考えたのですが、残りの部分をうまく埋めてください。
いうまでもなく、縦、横、斜め(対角線)1列になっている4数の和は、すべて等しくなければいけません。

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p9

いざ、チャレンジ

チャレンジの結果…解けませんでした…

正直なところ、時間さえあれば、愚直に計算することで解を求めることはできます(と負け惜しみを言う)。
しかし、愚直に計算するというのはエレガントではないと思うので、何か解き方があるのだと思います。
とはいえ、筆者は魔法陣をまともに解いたことがないので、そんなの知らないわけですが(笑)

では、不要かもしれませんが筆者の回答(というより考えの軌跡)を紹介します。

「早く答えを知りたい!」という方は投稿されたエレガントな解答とその感想まで飛んで下さい。

筆者の回答

まず、縦、横、斜めの4つの数の和が全て等しいので、その和を求めれば、進むと思いました。
しかし、7の隣には1から31の奇数のうち、19、9、7以外の奇数のどれもが入りうるわけですので、パターンが多すぎます。

そこで、4つの和の最大値と最小値を求めることにして、範囲を絞ろうとしました。
(※後からこれはアホな行いだったことが分かります。)
最大値は\(19+9+7+31=66\)で、最小値は\(19+9+7+1=36\)です。

しかも、4つの奇数の和ですので、和は必ず偶数になりますから、36から66までの偶数に求めたい和があります。

しかしながら、これもパターンが多すぎてヒントになりうる情報ではなさそうです。

さて、どうしたものか、と思いましたが、筆者の頭は冴えずに愚直に計算する事以外思いつかなかったので、諦めて1時間で計算できるだけ計算してやろうじゃないか、と開き直りました。
(※愚直は”エレガント”と対極にあるようなものなのに…と筆者も思います。)

さて、まずは和が最大値\(66\)だったときを考えました。
つまり、以下の状態です。

まず、筆者が思いついたのが、\(31+29+5+1=66\)の組み合わせです。
この4つの数の組が入るのは31が入っている列か、右上から左下への対角線です。
まずは対角線上に数を当てはめました。
19、9、7の中で一番7が小さいので、29、5、1の中で29が7と同じ列に来るだろう、と思いました。
また、同様にして19、9、7の中で一番大きいのが19ですので、19の列に1が来て、残りの5は9の列に入るだろうと思いました。

さて、31と29を使ったので、今度は27が何処に入るのかな、と考えました。
すると、\(27+25+9+5=66\)という組み合わせを見つけて「これだ!」と思い、一番小さい1の隣に27を配置して、残りの部分に25を配置しました。

さて、今考えれれる和のうち、\(27+29=54\)が最大なので、ここから攻めてみました。
すると、\(66-54=12\)ですので、3、11、13、15、17、21、23を使って12を作る必要があるのですが、できません。
従って、間違いです。

そこで、\(19+9+7+31=66\)をずらしてみようと思い立ちました。
\begin{eqnarray}
&&19+9+7+31=66\\
&&15+11+9+31=66\cdots \times\\
&&13+11+11+31=66\cdots\times\\
&&13+13+9+31=66\cdots\times\\
&&21+11+3+31=66\\
&&21+13+1+31=66\\
&&23+11+1+31=66
\end{eqnarray}

ということで、4つの和が66だった場合(ここが不確かなので意味がない可能性がありますが)、した3つが候補です。
しかし、このどれも、31の列に配置しようが対角線に配置しようが合致しないことが分かり、和は66でない事がわかりました。

ここで、考え方を変えてみました。

図のように\(x,y,z,w\)とおくと
$$
19+9+7=35=y+z+w
$$
という等式が得られます。
そこで、19、9、7以外で和が35になるような3つの奇数の組み合わせを計算しました。
すると、
\begin{eqnarray}
&&1+3+31=35\\
&&1+5+29=35\\
&&1+11+23=35\\
&&1+13+21=35\\
&&2+5+27=35\\
&&3+11+21=35\\
&&3+15+17=35\\
&&5+13+17=35
\end{eqnarray}
となるので、適切な組み合わせはこの中にあります。

一番最初に比べれば、随分絞れたと思いますが、結局愚直に計算することになりました。

ここで、ふと思い立ったことがあります。
それは、「力技で連立方程式で解けるんじゃないか?」です。
そこで、以下のように記号を決めました。

すると、
\begin{eqnarray}
35+x_1&=&x_2+x_3+x_4+x_5\\
&=&x_6+x_7+x_8+x_9\\
&=&x_{10}+x_{11}+x_{12}+x_{13}\\
&=&19+x_2+x_6+x_{10}\\
&=&9+x_3+x_7+x_{11}\\
&=&7+x_4+x_8+x_12\\
&=&x_1+x_5+x_9+x_{13}\\
&=&19+x_3+x_8+x_{13}\\
&=&x_1+x_4+x_7+x{10}\\
\end{eqnarray}
です。

「ん?これを行列で表しても正方行列じゃないな?ということは解は一意的じゃないな?」というところで時間切れでした。

投稿されたエレガントな解答とその感想

(前略)

まず、解答を示すと、設問に適合する奇数方陣は、次ページの4通りある。
この問題をパソコンで解いた人が7名いた。

(中略)

手計算で特には、まず一列4数の和(等和)を求める必要がある。等和を\(K\)とすれば、

$$
K=(1+3+5+\dots+31)\div4=16^2\div4=64
$$
となり、最上行の右端の数は29であることがわかる。
奇数方陣のままでは扱いにくいので、1から31までの奇数を\(2n-1\)(\(n=1\)から16までの自然数)で表し、設問の方陣を\(n\)で書き直すと、次の図(右)のように1から16まで通常の方陣となる。これをもとに検討を進めることにした方が結構多かった。

(中略)

方陣を少し知っている人なら、四方陣では等和になるのは縦、横、斜め(対角線)だけでなく、

四隅の和(上図では\(10+i+l+15\))、
中央の4格の和(\(b+c+f+g\))、
向かい合った側面中央の2格ずつの和
(\(a+e+d+h\)および\(5+4+j+k\))

といったものも等和になることを知っている。

(後略)

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p55-p57.

筆者は等和を求める式を見た瞬間「なんと自分はアホだったのか」と思いました。

としたとき、等和を\(X\)とおくと、
\begin{eqnarray}
&&35+x_1=X\\
&&x_2+x_3+x_4+x_5=X\\
x_6+x_7+x_8+x_9=X\\
x_{10}+x_{11}+x_{12}+x_{13}=X\\
\end{eqnarray}
が成り立つので、
$$
x_1+x_2+x_3+x_4+x_5+x_6+x_7+x_8+x_9+x_{10}+x_{11}+x_{12}+x_{13}+19+9+7=4X
$$
です。
左辺は結局、組み合わせはあれど\(1\)から\(31\)までの奇数の和ですので、\(256\)です。
故に、\(256\div4=64\)と分かります。

等和の求め方については深く納得しましたが、それでも結局、四隅の和だの中央の4格の和だの向かい合った側面中央の2格ずつの和だのを知っていたとしても愚直に計算するかのような解説だったので「エレガントなのか?」と思いました。
虱潰しにやるか、運が良いだけで別段「すごいなあ」とは思いませんでした、正直。

まあ、筆者は解けなかったわけですので「解けなかったくせに何言ってるんだ」という話ですが(笑)

問題②

次は今までと少し毛色が違う問題です。

駅前の大時計が7次18分ごろを指しています。これを見ているうちに、短針と長針を入れ替えても、ほぼ3次36分か37分になって、二針の相互位置は正しそうなことに気づきました。このように、短針と長針を入れ替えても、二針の相互位置が正しくなるのはどんなときでしょうか。ただし、秒針はないものとして考えてください。

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p9-p10.

いざ、チャレンジ

チャレンジの結果…解けませんでした。

解けなかったと言うより、問題文の意味がよく分かりませんでした。
相互位置は恐らく、元の短針と長針の位置とそれらを入れ替えた位置とを指しているのだと思いますが、「3時36分か37分」という曖昧な表現によって、どこまでズレを許すのかについてはよく分かりませんでした。

とはいえ、少し計算してみましたので、それを書きたいと思います。

筆者の回答

まず、明らかに相互位置が正しくないのは3時00分と12時15分など、\(n\ (1\leq n\leq 11)\)時00分と、12時\(5n\)分かなあ、と思いました。
なぜなら、12時\(5n\)分は、ビタッと12時に短針が来ないからです。

例えば、1時の短針と長針のなす角は\(360^\circ\div12=30^\circ\)です。
これの相互位置にある時間は12時5分です。
このとき、短針が12からどれくらいズレているかというと、\(2.5^\circ\)ズレています。
このズレは許容できるズレなのでしょうか?
どうでしょうか?

同様にして、2時の場合は\(5^\circ\)のズレが生じます。
これはもう許容範囲外な気もしますが、確定ではありませんし、よく分かりません。

他にも考えうるパターンを計算しましたが、結局どれくらいのズレを許容できるかが分からなかったため、あまり意味がありませんでした。

恐らく私の捉え方が間違っているのでしょうが、よく分からなかったので、エレガントな解答を見たいと思います。

投稿されたエレガントな解答とその感想

(前略)

0から59までの文字盤のうえで、短針が\(x\)、長針が\(y\)を指していれば、\(n\)を0から11までの整数として
$$
12x=y+60n
$$
が成り立ちます。このとき、短針と長針を入れ替えても、二針の相互位置が正しければ、うえと同じようにして
$$
12y=x+60m
$$
が成り立ちます。これから\(y\)を消去すれば
$$
x=\frac{60}{143}(12n+m)
$$
となり、\(n\)と\(m\)の動く範囲がどちらも0から11までであることを考えれば
$$
x=\frac{60}{143}k,\quad k=0,1,2,\dots,143
$$
となります。ここに、\(k=0\)のときは0時、\(k=143\)のときは12時で、二針の位置は同じです。こうして、短針が一まわりする12時間に、\(\frac{12}{143}\)時間ごとに1回、合計では143回、短針と長針を入れ替えられる時刻が周期的の訪れます。

これにたいし、出題者が意図した解は、0時から12時までの12時間を、明快な論理で143等分するものでした。いま、\(x\)軸を短針、\(y\)軸を長針として、二針が動いた跡を\(xy\)平面で示すと、下の図の実線となります。また、短針と長針を入れ替えると、二針の跡は鎖線となります。このため、実線と鎖線の好転だけが、二針を入れ替えても矛盾しない時刻です。この好天は143個で、\(x\)座標では等間隔に並んでいます。こうして、12時間を143で割ればよいのです。

一方、何回転かして元の位置に来たことを、整数の合同式を流用して
$$
12x\equiv y\ ({\rm mod}.\ 60)
$$
とかいてみます。すると、二針の入れ替えは
$$
12y\equiv x\ ({\rm mod}.\ 60)
$$
なので、この2式を連立させれば
$$
143x\equiv 0\ ({\rm mod}.\ 60)
$$
です。これから、形式的に
$$
x=\frac{60}{143}k,\quad k=0,1,2,\dots
$$
となりますが、合同式のなかの\(x\)、\(y\)は実数(整数とは限らない)なので、多少の裏付けが必要です。
また、長針の位置は短針の位置から一意に決まるので、この写像を\(y=f(x)\)とかいてみます。すると、\(f(f(x))=x\)が所要の条件なので、これからも似た関係が得られます。

(中略)

今回の問題では、出題者を驚嘆させた回答が2通ありました。

(中略)

裏返しの時計を貼り合わせた四針の時計を考えています。奇抜な発想でしたが、惜しいところでツッコミが足らず、すべての海を出すに至りませんでした。食甲斐氏のかいとうは見事です。短針の位置が十二進法で
$$
a_1.a_2a_3a_4a_5\cdots
$$
と表せたとすると、長針の位置は十二進法で
$$
a_2.a_3a_4a_5\cdots
$$
となります。このため、これを短針の位置とみなしたとき、長針の位置は
$$
a_3.a_4a_5\cdots
$$
となり、問題の条件は
$$
a_1.a_2a_3a_4a_5\cdots=a_3.a_4a_5\cdots
$$
となります。こうして、求める時刻は十二進法で
$$
a_1.a_2a_1a_2a_1a_2\cdots
$$
と表されます。この十二進法の表示による循環小数の小数部を十進法の表示による\frac{}{}で表すと、
\begin{eqnarray}
0.a_2a_1a_2a_1\cdots&=&\left( \frac{a_2}{12}+\frac{a_1}{12}\right)\left( 1+\frac{1}{12^2}+\frac{1}{12^4}+\cdots\right)\\
&=&\left( \frac{a_2}{12}+\frac{a_1}{12^2}\right)\frac{1}{1-\frac{1}{12^2}}\\
&=&\left( \frac{a_2}{12}+\frac{a_1}{12^2}\right)\times\frac{144}{143}\\
&=&\frac{12a_2+a_1}{143}
\end{eqnarray}
となり、\(a_1\)を1だけ増やすたびに、小数部は\(\frac{1}{143}\)だけ増えていきます。これは、12時間に143回だけ、短針と長針を入れ替えられる時間が周期的に訪れることを示しています。まことにエレガントな解答でした。

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p59-p62.

筆者はこの解答を読んだとき、「短針が\(x\)、長針が\(y\)を指していれば、\(n\)を0から11までの整数として
$$
12x=y+60n
$$
が成り立つ」という部分が「成り立たないんじゃない?」と思いました。
というのも、\(x=0\)、\(y=1\)の場合は適切な\(n\)が存在しないからです。

しかし、一方で、最後の十二進法で考える、というのは誠にすごいと思いました。
この回答を読んで、おおよそ問題の意図が分かった気がします。
私は色々思い違いをしていたようです。

いかがでしたか?
今回は数セミの「エレガントな解答をもとむ」に挑戦してみる、という記事でした。
魔法陣は初めて解きましたが、結局力技が入ってくるのでしょうか…?
時計の問題は結局筆者の読解力不足でした。

読者の皆様も是非一度挑戦してみて下さい!
そして、「こんな解答を思いついた!」というのがあれば是非コメントで教えて下さい!

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  1. 魔法陣の問題ですが、全ての奇数を1引いて2で割ることで0~15の数に変換します
    そして変換した数を四進数に書き直します

    あとは4の位、1の位それぞれで縦横斜めに0~3が1回ずつ現れるように配置します
    この時4の位と1の位の組み合わせが同じものができないように気を付けてください

    そうしてできた魔法陣を十進数に直して、2倍して1を足せば完成です

    • 名無し様

      コメントありがとうございます。

      すごい発想ですね!勉強になります。ありがとうございます!

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