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【挑戦】(数セミ)エレガントな解答をもとむを解く㉛

1時間チャレンジ

本記事の内容

本記事は『数学セミナー』(日本評論社)に掲載されている”エレガントな解答をもとむ”に出題されいている問題を1時間で解けるか、という挑戦をする記事です。

本記事を読むにあたり、前提知識は基本的に必要ありませんが、以前紹介した記事の内容を使う場合はその旨を記述することにします。

今回も「エレガントな解答をもとむ selections」に掲載されいている問題です。

前回の問題については以下の記事を御覧ください!

問題を明示します。

有理数を循環小数に展開したときの問題です。循環周期は、上に棒線をつけて表示します。\(\displaystyle\left( \frac{1}{3}=0.\overline{3}\right)\)
$$
\frac{1}{7}=0.\overline{142857}
$$
の周期を半分にわけて加えると、\(142+857=999\)。
$$
\frac{1}{17}=0.\overline{0588235294117647}
$$
でも、同様にして\(99999999\)になります。
 それでは一般に周期が偶数桁ならいつも正しいかというと、
$$
\frac{1}{21}=0.\overline{047619}
$$
ではだめです。どのような条件のもとで、偶数循環周期の有理数で、周期を半分にしたものを加えると\(99\cdots9\)になるのでしょうか。純循環小数と仮定してかまいません。
 ところで、\(9\)以外がならぶ例もあります。
$$
\frac{1}{39}=0.\overline{025641}
$$
では、\(666\)であり、\(\displaystyle\frac{1}{21}\)も同じでした。余裕があればこういう場合のことも考えてみて下さい。

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p23-p24.

チャレンジの結果は…?

チャレンジの結果…解けませんでした…
恥ずかしい話ですが、数学を専門にしているのにも関わらず、筆者はこの手の数に関する問題が大の苦手です。
\(p\)進数などは特に苦手です。
なんとか解いてみようと思いましたが、結局できませんでした。

筆者の解答を紹介します。(解けていないのであまり意味はありませんが)

\(q\in\mathbb{Q}\)を小数展開して、
$$
q=0.\overline{x_1x_2\cdots x_ny_1y_2\cdots y_n}
$$
となったとしましょう。
このとき、
$$
x_1\cdots x_n+y_1\cdots y_n=9\cdots9
$$
となるような条件を知りたいわけです。
このとき、
$$
(1\leq \forall i\leq n)\quad x_i+y_i=9
$$
という状態であれば良いわけです。
「だからどうした」という感じです。

この表記は形式的なものですから、\(q\)をなんとか見慣れている\(10\)進数の表記に直してみようと思いました。

\(X\)を\(x_1x_2\cdots x_n\)を\(10\)進数表記したもの、\(Y\)を\(y_1y_2\cdots y_n\)を\(10\)進数表記したものとすれば、
$$
q=\frac{10^nX+Y}{10^{2n}-1}
$$
となります。
憶測ですが、\(q\)を\(\displaystyle\frac{y}{x}\)と分数表記したときの\(x\)と\(10^{2n}-1\)との間に関係式があれば、それが突破口になるのではないかなと思いました。

しかし、特にめぼしい成果は得られず、断念しました(時間切れでもありました)。

投稿されたエレガントな解答

(前略)

まずは条件を一つ出してみましょう。
有理数\(r\)を小数展開すると、純循環節が\(2n\)であり、循環は小数第1位から始まるとします。
$$
r=0.\overline{a_1a_2\cdots a_nb_1b_2\cdots b_n}.
$$
ここで、\(a_i+b_i=9\)となったとします。この場合、くり上りの心配はありません。\(10^n\times r\)を加えれば、
$$
\left( 10^n+1\right)r=a_1a_2\cdots a_n.\overline{99\cdots9}=A+1\tag{1}
$$
となります。ここで\(A\)は、\(a_1a_2\cdots a_n\)を10進整数として読んだ値です。すなわち、\(0\leq A<10^n-1\)。したがって、\(r\)を既約分数\(\displaystyle\frac{b}{a}\)と表示すれば、問題の条件をみたす必要条件として、

\(a\)は\(10^n+1\)の約数である\(\tag{2}\)

ということになります。逆に、これがみたされていれば(1)の式で、
$$
\frac{10^n+1}{a}\cdot b=A+0.\overline{9}
$$
から逆にたどって問題の条件をみたします。すなわち、(2)が必要十分条件になっています。
 今、\(b_1b_2\cdots b_n\)を10進整数として読んだ値を\(B\)とすれば、
$$
r=\frac{10^nA+B}{10^{2n}-1}\tag{3}
$$
です。つまり一般の\(r\)では、\(a\)は\(10^{2n}-1=(10^n-1)(10^n+1)\)の約数であり、(2)の条件は、\(a\)が\(10^n+1\)の部分を完全に割り切るということです。\(10^n+1-(10^n-1)=2\)なので、公約数はなく、

\(a\)が\(10^n-1\)と素であれば問題の性質を持つ\(\tag{4}\)

ともいえます。さらに、(2)の成立する一つの十分条件が得られます。今\(a\)が素数だとします。もし\(a\)が\(10^n-1\)の因数ならば、循環節の長さは\(n\)になります。したがって、\(a\)は\(10^n+1\)の因数です。つまり

\(a\)が素数で、\(\displaystyle\frac{b}{a}\)が偶数循環性を持つならば、\(\tag{5}\) 問題の性質をもつ

ということになります。(2)は判定条件としては使いづらいものですが、(4)(5)は便利でしょう。

(中略)

 さて、実際に小数展開することなく、循環節が奇数か偶数かがわからないものでしょうか。それがあれば、素数に対しては(5)があるのでまったく計算せずに判定されることになります。これには整数論が必要になり、初等的ではありません。(中略)氏はこれを考察し、次の十分条件を得ておられます。\(p\)を素数とし、
$$
p\equiv\pm7,\pm11,\pm17,\pm19\ ({\rm mod}\ 40)\tag{6}
$$
であれば、\(\displaystyle\frac{b}{p}\)は偶数循環周期をもつ。これは平方剰余の法則を用い、\(10\)が法\(p\)の平方剰余でなければ、\(10^e\equiv1\ ({\rm mod}\ p)\)となる最小の\(e\)は偶数である、ということから導きますが、いろいろと準備が必要なので、ここでは紹介できません。(6)で右辺が\(-7\)、\(-11\)、\(17\)、\(-19\)の場合のみ、\(4\)の倍数の循環周期になり得ます。

(中略)

 さて、追加の、他の数が並ぶ場合について簡単にふれておきましょう。(3)の式で、
$$
A+B=(10^n-1)\times \frac{k}{9},
$$
つまり\(k\)がならぶ、とすると、
$$
r=\frac{9A+k}{9(10^n+1)}
$$
となります。つまり、分母\(a\)は\(9(10^n+1)\)の約数です。
 \(a=3\times[(10^n+1)\)の約数\(]\)のときは、分子\(b\equiv1\ ({\rm mod}\ 3)\)の場合、
$$
\frac{a}{3}\equiv1,2\ ({\rm mod}\ 3)
$$
に応じて、\(6\)、\(3\)が並びます。\(b\equiv2\)の場合\(3\)、\(6\)です。
 \(a=9\times[(10^n+1)\)の約数\(]\)のときは、\(\displaystyle\frac{a}{9}\)、\(b\)(ともに\({\rm mod}\ 9\))に応じて次表のような数字が並びます。

図を挿入

(後略)

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p203-p206.

読者の皆様への挑戦状!

今から紹介する問題の解答は来週の日曜日に挑戦します!

カタラン予想という未解決問題があります。\(m,n,p,q\)が\(1\)より大きな整数のとき、
 (C) \(m^p-n^q=1\)は\(3^2-2^3=1\)以外の解をもたない
という予想です。このままではむづかしすぎるので、問題を\(m=n+1\)のときに限定します:
 (L) \((n+1)^p-n^q=1\qquad\) (\(n,p,q\)は\(1\)より大きな整数)
このとき、次の問に答えてください。
 (初級問題) \(3^p-2^q=1\qquad\) (\(p,q\)は\(1\)より大きな整数)
の解は\(p=2\)、\(q=3\)だけであることを証明してください。
 (中級問題) \(n,\ p,\ q\)が(L)をみたすとき、\(n\)と\(p\)は偶数、\(q\)は奇数であることを示して下さい。
 (上級問題) (L)の解は、\(n=2\)、\(p=2\)、\(q=3\)に限られることを証明して下さい。

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p24.

前回の問題は【1時間チャレンジシリーズ】挑戦㉚を御覧ください!

いかがでしたか?
今回は数セミの「エレガントな解答をもとむ」に挑戦してみる、という記事でした。

読者の皆様も是非一度挑戦してみて下さい!
そして、「読者の皆様への挑戦状」にも是非挑戦していただき、解答をコメントで教えて下さい!

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