本記事の内容
本記事は『数学セミナー』(日本評論社)に掲載されている”エレガントな解答をもとむ”に出題されいている問題を1時間で解けるか、という挑戦をする記事です。
本記事を読むにあたり、前提知識は基本的に必要ありませんが、以前紹介した記事の内容を使う場合はその旨を記述することにします。
今回も「エレガントな解答をもとむ selections」に掲載されいている問題です。
※「これを5分で解けるかな!?」も是非挑戦してみて下さい!
前回の問題については以下の記事を御覧ください!
今日の問題
立方体の6面を絵の具で塗り分けます。使える色は6色までで、すべて違う色でも、2色か3色だけを使っても、まったく自由です。違う塗り方は全部で何通りありますか。ただし、立方体を転がしたとき同じ塗り方に成るものは1通りと数えます。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p28.
立方体の特徴をうまくみつけると、群論などの知識を使わなくても、ごく簡単に答えは出ます。
チャレンジの結果…
チャレンジの結果…解けました。
ただ、愚直に数え上げたので、エレガントなのか?と言われると少々疑問が残る解答です。
筆者の解答
筆者も最初「立方体の特徴をうまく見つけると、ごく簡単に答えは出ます」とのことだったので、なにか規則性があるのかなあ、とか色々考えてみましたが、特に良いものは思い浮かばず…
ということで、愚直に計算することにしました。
答えが出たのは良いとして、特に面白みもなく、問題の難易度もさして高いわけではない(と思う)ので、省略して書くことにします。
①1色で塗るとき
1色で塗るパターンは6色分で6通りです。
②2色で塗るとき
まず、色の選び方は\({}_6C_{2}=15\)通りです。
- 色①が1マス、色②が5マスのとき
1通りが2パターンありますので、2通りです。 - 色①が2マス、色②が4マスのときは合計で4通りです。
実際、色①が隣接している場合としていない場合でそれぞれ1パターンずつあり、色の配置が2パターン存在するので、\(2\times 2=4\)通りです。 - 色①が3マス、色②が3マスのときは、合計で2通りです。
実際、色①の塗り方は、直線状かL字型かの2通りだからです。
以上を踏まえれば、
$$
15\times(2+4+2)=120
$$
となるので、120通りです。
③3色で塗るとき
あとは、②と本質的に同じで、
- 色①が1マス、色②が1マス、色③が4マスのとき
①と②が隣接しているとき、対面のときで場合分け - 色①が1マス、色②が2マス、色③が3マス
直線状、L字型で場合分け - 色①、②、③ともに2マス
と場合分けすれば、合計30通りです。
6色から3色選ぶパターンは\({}_6C_{3}=20\)なので、\(30\times 20=600\)通りです。
④それ以降
これらも本当に数え上げるだけなので、
- 4色:1020通り
- 5色:450通り
- 6色:30通り
となるから、合計で2226通りとなるわけです。
投稿されたエレガントな解答
(前略)
解答は3通りに大別されます。第1は、使う色を1色から6色まで変え、それぞれを丹念に数え上げるものです。すると、正確に数えた場合、1色が6通り、2色が120通り、3色が600通り、5色が1020通り、5色が450通り、6色が30通りとなて、合計は2226通りになります。
第2は、ポリアの定理を使うものです。出題分の中に「群論などの知識を使わなくても、\(\cdots\)」と断りましたので、ほとんどの応募者は定理の使用を避けたと理解しています。出題の主眼は、ポリアの定理を使わずに、エレガントな解答を求めることにありました。なお、ポリアの定理については、組合せ論の標準的な教科書を参照してください。
第3は、3組の対面に着目するもので、うまい解釈をすると、ただちに\({}_{23}C_{3}+{}_{15}C_{3}=1771+455=2226\)通りが得られます。これが出題者の解答ですが、期待通りの解答を寄せられた方は、(中略)の2氏です。
出題者と(中略)の2氏の解答はつぎのようです。立方体の6面は反対側に向かい合った2面を1組とすると、上下、前後、左右の3組になります。いま、向かい合った2面を対面と呼び、3組の対面の塗り方を指定します。すると、
(a)対面が1組でも同色ならば、立方体の塗り方は1通りである。
(b)3組の対面が異色でも、2組(または3組)の対面に同じ色を使えば、立方体の塗り方は1通りである。
(c)対面が3組とも異色、どの2組の対面にも同じ2色を使わなければ、立方体の塗り方は2通り(鏡映で同じになるもの)である。
(d)3組の対面の色の組合せが異なれば、立方体の塗り方は一致しない。となります。
ところが、対面を同色にする塗り方は6通り、異色にする塗り方は15通り(\(={}_6C_{2}\))なので、同色化異色のどちらかにする塗り方は21通り(\({}_6H_{2}\))です。この21通りの中から、重複を許して3通りを選ぶ仕方は\({}_{21}H_{3}={}_{23}C_{3}=1771\)通りです。このうち、上の(c)に当たるのは、15通りの中から3通りを選んだ455通り(\({}_{15}C_{3}\))だけなので、全体では
\({}_{23}C_{3}={}_{15}C_{3}=2226\)通りになります。
(後略)
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p245-p246.
!次回予告!
A、B、C、D、E、Fの6個の金庫と、それらを開ける鍵a、b、c、d、e、fが1本ずつあります。いたずらモノがどの金庫にも別の鍵を1本ずつ入れて、6個の金庫とも締めてしまいました。このため、壊さないと金庫は開けられません。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p28-p29.
しかし、すべての金庫を壊す必要はないのです。例えば、Aの金庫を壊したとき、中にbの鍵が入っていれば、その鍵でBの金庫は開けられます。また、Bの金庫にcの鍵が入っていれば、その鍵でCの金庫も開けられます。さらに、Cの金庫にdの鍵が入っていれば、その鍵でDの金庫も開けられます。しかし、Dの金庫にaの鍵が入っていれば、EとFの金庫は開けられません。そこで、またEかFの金庫を壊すことになります。
どの金庫にも別の鍵を1本ずつデタラメに入れたとき、すべての金庫を開けるには、平均で何個の金庫を壊す必要があるでしょうか。
筆者からの挑戦状!(5分で解けるかな!?)
サクッと挑戦できる問題を筆者が考えて出題したいと思います!
5分程度で解ける問題を出していきたいと思います。
今回は頭の体操のような、ある種クイズです。
5リットルの水が入るバケツと、3リットルの水が入るバケツがある。これらのバケツにはメモリは無いとし、できるだけ少ない施行で4Lを作れ。
どこかで見たことがあるような問題ですが…
筆者の解答は「これ、ズルか…?」というちょっと妙なものですが、1度も水を捨てることなく一応4リットルを作り出せる方法です。
皆様の、“妙な”解答をお待ちいています。
解けた方は、本記事へコメントするか、Twitter、instagramのDMで解答を送って下さい!
結
いかがでしたか?
今回は数セミの「エレガントな解答をもとむ」に挑戦してみる、という記事でした。
読者の皆様も是非一度挑戦してみて下さい!
そして、「筆者からのの挑戦状」にも是非挑戦していただき、解答をコメントで教えて下さい!
質問、コメントなどお待ちしております!
どんな些細なことでも構いませんし、この記事に限らず、「定理〇〇の△△が分からない!」などいただければお答えします!
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他の「エレガントな解答をもとむ」の問題に挑戦してみたい方はぜひ以下の書籍をお買い求め下さい!
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