本記事の内容
本記事は『数学セミナー』(日本評論社)に掲載されている”エレガントな解答をもとむ”に出題されいている問題を1時間で解けるか、という挑戦をする記事です。
本記事を読むにあたり、前提知識は基本的に必要ありませんが、以前紹介した記事の内容を使う場合はその旨を記述することにします。
今回も「エレガントな解答をもとむ selections」に掲載されいている問題です。
前回の問題については以下の記事を御覧ください!
問題を明示します。
次の
n∑k=1(k5+k7)
をnで表して下さい。(ヒント)∑k5と∑k7を別々に求めては損です。もとのまま、電卓やパソコンで少し実験してみると、答が予想できます。正しく予想できれば証明は容易です。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p21
チャレンジの結果は…?
チャレンジの結果…解けました!
今回はヒントもありましたし、結構簡単に解けました。
極端なことをいえば、n∑k=1k5とn∑k=1k7の項をそれぞれ力技でnで表して最後に足す、という手法でもできますから、難易度としては高くないと思います。
もちろん、その解答は”エレガント”とは言えない気がしますが…
筆者の解答を紹介します。
先述の通り、今回は心優しいことにヒントが書かれている為、それに従ってnに具体的な値を代入して計算してみます。
- n=1のとき
1∑k=1(k5+k7)=15+17=1+1=2 - n=2のとき
2∑k=1(k5+k7)=2+25+27=2+32+128=162 - n=3のとき
3∑k=1(k5+k7)=162+35+37=162+243+2187=2592
と、ここまでやって、2, 162, 2592を眺めてみても「偶数だな」ということくらいしか思いつきませんでした。
これをk=4, k=5,⋯と続けてもそれは変わらない気がしました。
ということで、もっと2, 162, 2592を観察することにしました。
どう観察するかというと、素因数分解で特徴を見つけようと思い立ちました。
n=1, 2, 3のときにそれぞれ素因数分解をしてみると、
- n=1のとき、2=21
- n=2のとき、162=2×34
- n=3のとき、2592=25×34
となりました。
「お?もしかしてn=1以外は34を因数に持ったりして。n=4も調べてみよう」と思い、n=4も計算してみました。
n=4のときは
4∑k=1(k5+k7)=3∑k=1(k5+k7)+45+47=2592+1024+16384=20000=25×54
となって、予想は間違っていました。
しかし、「n=2のときは34を、n=3のときも34、n=4のときは54を因数に持つということは、もしかしたらn=5の場合も54を因数に持つのでは?そしてn=6の場合は74を因数に持つのでは?」と思いたち、計算してみました。
- n=5のとき
5∑k=1(k5+k7)=4∑k=1(k5+k7)+55+57=20000+3125+78125=101250=2×34×54 - n=6のとき
6∑k=1(k5+k7)=5∑k=1(k5+k7)+65+67=101250+7776+279936=388962=2×34×74
案の定でした。
並べてみると、
n | n∑k=1(k5+k7) |
1 | 2 |
2 | 2×34 |
3 | 25×34 |
4 | 25×54 |
5 | 2×34×54 |
6 | 2×34×74 |
つまり、「奇数の4乗が2回ずつ因数として出現するのだな」と思い至ったわけです。
しかしそれでは2の累乗の説明がつきません。
ちょっと悩みました。
そこで他にこれらに共通点が無いかなあと思い眺めてみると、「2以外の素因数の累乗がすべて4だな」と気が付きました。
さらに、2については、2の指数が1か5かということにも気が付きました。
ということは、25=2×24という変形をすれば、
という形になっているわけです。
つまり、以下になるわけです。
n | n∑k=1(k5+k7) |
1 | 2×14 |
2 | 2×34 |
3 | 2×(2×3)4=2×64 |
4 | 2×(2×5)4=2×104 |
5 | 2×(3×5)4=2×154 |
6 | 2×(3×7)4=2×214 |
では、指数が4の数、つまり6, 10, 15, 21に注目すると、
6=3×42,10=4×52,15=5×62,21=6×72
であり、さらに
1=1×22,3==2×32
となるから、
n∑k=1(k5+k7)=2(n(n+1)2)4
が答えであろう、と予想できました。
もちろんこれはあくまで予想ですので、数学的帰納法で証明する必要があります。
n=1のとき、
n∑k=1(k5+k7)=2,2(1(1+1)2)4=1
により、成り立ちます。
仮にn=mまで成り立つとします。
すなわち
m∑k=1(k5+k7)=2(m(m+1)2)4
だとします。
n=m+1のとき、
m+1∑k=1(k5+k7)=m∑k=1(k5+k7)+(m+1)5+(m+1)7=m4(m+1)48+(m+1)5+(m+1)7=(m+1)4{m48+(m+1)+(m+1)3}=(m+1)4{m48+(m+1)+m3+3m2+3m+1}=(m+1)4{m48+m3+3m2+4m+2}=18(m+1)4(m4+8m3+24m2+32m+16)=18(m+1)4(m4+16m2+16+8m3+32m+8m2)=18(m+1)4(m2+4m+4)2=18(m+1)4(m+2)4=2((m+1)(m+2)2)4
となるため、n=m+1のときも成り立ちます。
投稿されたエレガントな解答を紹介します!
筆者の解答と似ている部分は省略します。
(前略)
18n4(n+1)4=2{n(n+1)2}4=n88+n72+3n24+n52+n48
(中略)
以下には特色ある解法を紹介します。n∑k=1k3の公式をi行j列に積ijを並べたn行n列の配列の総岩から求める方法は、中世の文献に載っており、近年ではかなり知られてきました。同じようにこの問題も、i行j列に積i3j3を並べたn行n列の配列の総和から計算できます。この配列の数の総和は
n∑k=1k3⋅(13+23+⋯+n3)={n2(n+1)24}2=n4(n+1)416
です。一方これを左上から、第k行の1,⋯,k成分と、第k列の1,⋯,(k−1)成分の和の形で加えますと、
第k区画の和=k3(13+23+⋯+k3)+k3{13+23+⋯+(k−1)3}=14k3{k2(k+1)2+k2(k−1)2}=12(k5+k7)
になるので、(2)の2倍(所要)の和が(1)になります。(後略)
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p184
読者の皆様への挑戦状!ぜひ解いてみて下さい!
以下の問題は次回挑戦します!
古典的な累乗和の問題です。便宜上
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p21-p22
Sk(n)=n−1∑r=0rk
とおきます。ただし00=1と約束しますので、
S−1(n)=0(と定義)S0(n)=n(00=1に注意)S1(n)=12n2−12nS2(n)=13n3−12n2+16nS3(n)=14n4−12n3+14n2S4(n)=15n5−12n4+13n3−130n⋯⋯
となります。Sk(n)はnについて(k+1)次多項式ですが、これを連続変数nの関数とみなすと、等式
S′k(n)=dSk(n)dn=kSk−1(n)+bk
が成立します。ここで定数項bkは「ベルヌイ数」であって、次の漸化式によって定義されます。
b0=1,m−1∑k=0mCk⋅bk=0(m≥2)
初めのほうの値は
b1=−12, b2=16, b3=0, b4=−130, b5=0, b6=142,⋯
です。(1)は例に示したk=4までは直接確かめられますが、一般的に正しい式です。この関係式はベルヌイ以来何度も再発見されています。
問題は、(1)をなるべく初等的に—できれば高等学校程度の数学で—証明することです。
注意 (2)によって定義されるbkは、指数的母関数の関係式
∞∑k=0bkk!tk=tet−1
を満足します。(3)を活用すれば(1)の証明は容易ですが(そして(2)も導くことができますが)、なるべくなら(3)を知らないでもできる証明を望みます。
前回の問題は【1時間チャレンジシリーズ】挑戦㉕を御覧ください。
皆様の挑戦の結果を是非コメントで教えて下さい!
結
いかがでしたか?
今回は数セミの「エレガントな解答をもとむ」に挑戦してみる、という記事でした。
読者の皆様も是非一度挑戦してみて下さい!
そして、「読者の皆様への挑戦状」にも是非挑戦していただき、解答をコメントで教えて下さい!
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