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(数セミ)”エレガントな解答をもとむ”に1時間で挑戦!読者の皆様への挑戦もあります!【挑戦⑫】

1時間チャレンジ

本記事の内容

本記事は『数学セミナー』(日本評論社)に掲載されている”エレガントな解答をもとむ”に出題されいている問題に、1時間で解けるか、という挑戦をする記事です。

本記事を読むにあたり、前提知識は基本的に必要ありませんが、以前紹介した記事の内容を使う場合はその旨を記述することにします。

今回は「エレガントな解答をもとむ selections」に掲載されいている問題です。

前回の問題については以下の記事を御覧ください!

では、問題

3辺が整数a,b,cの3角形の3つの角A,B,Cが特別の1次の関係式をもつ場合があります。

もちろん
A+B+C=180
は当然成立しますが、それと無関係の(線型独立な)関係式で係数が整数のものを見つけて下さい。たとえば図1、図2についてはそのような1次式があります。まずこれみつけてください。

それから、このような1次式をもつ整数の辺の3角形が(相似形をのぞき)他にもあるか、無限にあるか、どのような1次式のものであるか、などについても研究してみてください。

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p14-p15.

いざ、チャレンジ

チャレンジの結果…完全論破ではないにせよ、解けました。
割合でいうと8割、といったところでしょうか。

今まで解いてきた「エレガントな解答をもとむ」シリーズでは、特殊例を問題とし、エレガントな解答として、一般化まで踏み込んだ応募者の解答が掲載されている印象があります。
それゆえ一般化したいなと思いましたが、できませんでした。
それがあまりの2割です。

筆者の解答

恥ずかしいお話

なんともお粗末な話なのですが、最初、筆者は題意を正しく読解出来ておらず、無駄なことをしていました…
「読めば分かるじゃん…」という話なのですが。
なんと筆者は最初に三角形の辺の長さに関する等式を導け、だと勘違いして(という保身のための言葉を使いましたが単純におバカでした)いました。
題意は「角に関する等式を導け」ですので、一部無為な時間を過ごしてしまいました。

最初に間違って「なんだ。幾何の問題と見せかけて合同式の問題じゃん。」と解釈した自分が恥ずかしいです。

ここではその間違って解釈した部分については省略します。

では、筆者の回答に行きます。

図1の三角形について

まずは、ABCが特別な角度かもしれない、と思い、余弦定理を使って各角のcosを計算しました。

  • Aについて
    36=16+252×20cosA=4140cosA
    により、
    cosA=18
    となり、特別な角ではないことが分かりました。
  • Bについて
    25=36+162×24cosB=5248cosB
    により、
    cosB=916
    となり、これも特別な角ではないことが分かりました。
  • Cについて
    16=25+362×30cosC=6160cosC
    により、
    cosC=34
    となり、これも特別な角ではないことが分かりました。

どうやら特殊な角では無いようなので、この方法は適切でないようだ、ということが分かりました。

ということで、補助線を引いて「どことどこの角が合同で…」と三角形やら四角形やらの性質を使うという方法にシフトしました。
で、初手ですが、得られている情報は各辺の長さだけです。
ということはこの長さを使ってなんとか角同士の関係を導出しなければならないわけです。
となると、やはり、うまい具合に補助線を引いて、合同やら相似やらの三角形を見つけて角における関係式を導出する、というのが正攻法だろう、と思いました。

与えられている情報は辺の長さのみなので、「どうにかこの情報を有益に使う補助線はないかな?」と考えたときに真っ先に思い浮かんだのが角の二等分線です。
頂角の二等分線と底辺の交点は、底辺をその他の辺の比で内分する点と一致するためです。
(※勿論、この時点ではこの方法が有益な方法かどうかは分からず、とりあえずやってみるという具合でしたが、結局見立ては正しかったようです、とネタバラシしておきます。)

では、ABCのどの角の二等分線を補助線として作図するか、とう話になります。
各辺の長さを確認すると、
AB=4,BC=6,CA=5
です。
先程述べたように、頂角の二等分線は底辺をその他の辺の比で内分する点で底辺と交わります。
それを見越して考えてみます。

AB+CA=4+5=9,AB+BC=4+6=10,BC+CA=6+5=11
と計算できます。
この計算結果を見てみると、AB+BC=10=2ACとなっているため、Bの二等分線とを考えるのが良さそうです(計算しやすいという意味で)。
実際、
AB:BC=4:6=2:3
ですから、2+3=5=ACとなって、比がそのまま長さになってくれました。

というわけで、Bの二等分線と辺ACとの交点Dとします。

では、新たに作ったABDBDCを観察してみます。
しかし、ABDBDCは合同はおろか、相似にもなりえません。
故に別の補助線が必要です。
今度は、新たに作った点Dを活用して補助線を引き、三角形を作ることにしました。
Dを経由して補助線を引くとなると、線の引き方は大きく分けて2パターンしかありません。
それは

  • AB上に引く。
  • BC上に引く。

始点をDとするとき、新たに三角形を作るには辺ABか辺BCをめがけて引くほかありません。
勿論、補助線を更に追加すると成るとその限りではありませんが、図形が複雑になり、むしろ考えにくい可能性があります。
今行っている方法で上手く行かなかった場合は、それを考えてみることにしました(結果的に杞憂でしたが)。

さて、辺ABと辺BCのどちらに向けて補助線を引くか、という話ですが、迷いどころです。
とはいえ、パターンが2つしか無いので、双方試せばいいかな、と思いました。

まず、DからABにめがけて補助線を引いてみることにしました。
今度は、問題はどのような条件で引くか、ということになります。
そこでADの長さに注目すると、2で、ちょうどABの長さの半分です。
この情報を使うことにして、ABの中点をEとして線分DEを作図しました。

すると、AD=AE=2となるので、AEDは二等辺三角形です。
「よしよし。いい感じだぞ。」と思いました。
しかしながら問題があります。
それは「どうやってCを絡めるか?」ということです。
新たにできた四角形EBCDに着目しても、特にACをつなげるような情報は得られなさそうです(もしかしたら得られるかもしれませんが、筆者は得られなさそうだな、と思いました)。

そこで、今度はADBの二等分線とABの交点を新たにEとしてDEを作図しました。

最初にcosA=18と求めていたので、
BD2=4+162818=18
となり、18は平方数でなく、他の辺の長さと特に関係なさそうな長さなので、DからABに向けて補助線を引くのは一旦やめました。

次に、DからBCにめがけて補助線を引いてみることにしました。
今度も、問題はどのような条件で引くか、ということです。
先程と同様にBCの中点をEとして線分DEを作図してしまうと、本質的に先ほどと同じことになってしまいます(各辺の長さが異なるだけで、回転させると同じことをしています)。
故に、別の発想が必要です。

そこで筆者は単純に「BC上にCE=CDとなるような点Eを取ると良くないのであれば、別の側、つまりAB=BEとなるようにBC上に点Eを取ってみるか?」と思い、取りました。

すると、なんとこの方法で解決できました。

二辺夾角合同により、ABDEBDです。
故に、ABEDADDE2です。
従って、DEEC2によりCDEは二等辺三角形だからCCDEです。
線分BCCDEの辺ECを延長したものと捉えれば、BEDCDEの外角だから
BEDC+CDEC+C2C
です。
今、ABEDだから、A2Cです。

…読者の皆様がおっしゃりたいことは分かります。
「”DからBCにめがけてAB=BEとなるようにBC上に点Eを取ってみる”というのはすぐ分かるんじゃないか?こんな右往左往しなくてもすぐ分かるんじゃない?」とお思いだと感じます。
そのとおりです。
筆者にもうすこし眼力があれば….

図2について

図1のときと同様に考えました。

すると、
A≡=BED180CED=180+C2
という関係式が得られます。
A+B+C180だから、
A=A+B+C+C2=A+B+2C2
により
AB2C
です。

この方法をに気がつけば、図1と図2とは異なる別の角のいち次式を持つ三角形は無限に存在することが分かります。

ここで時間切れでした。
一般化はかないませんでした。

投稿されたエレガントな解答

ほとんどの方が3角比の公式を用いて予想および証明をしていました。 余弦定理と倍角公式より図1のA2C=0の成立条件として a2=c(b+c) を求め、a,b,cを既約な自然数として

(a,b,c)=(αγ,α2γ2,γ2)
(α,γは互いに素な自然数でα2<γ<α)
の一般解を求めています。 同様に図2のAB2C=0の成立条件としては
(a,b,c)=(α2,α2γ2,αγ)
(α,γは互いに素な整数でα2αγ<α2γ2<α2+αγ)
を得ました。
初等幾何的なものはわずかでした。
(中略)
図1、図2のどちらにも、角Bの2等分線とACとの交点MBC上でBA=BNを満たす点Nをとります。 すると
AM:MC=BA:BCおよびABMNBM
からNMCが2等辺3角形となることがわかります。(図3、図4)
 図3の3角形では、 A=BNM=NMC+NCM=2C  図4の3角形では、 A=BNM=180CNM=180+C2 となります。 また、NMCを別の2等辺3角形に取り替えれば、このタイプの3角形が無限に存在することも分かります。
 この証明に気づくと、図1、図2とは別種の角の1次式をもつ3角形も無限に発見することが出来ます。
(中略)
さらにこれを一般化して、
 定理 3辺がan,bn,cnの3角形の角An,Bn,CnαnAn+βnBn+γnCn=0 の関係を持つならば、3辺が (an+1,bn+1,cn+1)=(anbn,b2nc2n,ancn) の3角形の角An+1,Bn+1,Cn+1について αn+1An+1+βn+1Bn+1+γn+1Cn+1 =αnAn+1+βnBn+1+(αn+βn+γn)Cn+1=0 なる関係を持つ。
を得ています。 (MNCの向きを変えれば、あと2つの漸化式が得られる)
(中略)
氏は、次の定理をつきとめました。
定理 任意の自然数m,nについて、mAnB=0を満たす整数辺の3角形が無数にある。
(中略)氏の証明をスケッチすると以下のようになります。
  1. (a,b,c)=(x2+y2,x2y2,2xy)(x,yは自然数)
  2. なるa,b,cは直角3角形の3辺を与える。
  3. 1.のa,b,cにたいしcosα=basinα=caなる角αをとると、cosαsinαがともにゆうりすうとなる角αが稠密に存在することがわかる。
  4. αと自然数kに対し、sinkαは有理数。
  5. A=nαB=mαC=π(n+m)αとおくと a:b:c=sinA:sinB:sinC は有理数比すなわち整数比。
これだけでも十分期待以上だったのですが、なんと(中略)氏は「完全解」をつきとめてしまいました。 次のとおりです。
 定理 ABCxA+yBxC=0 (x,y,zx>0y0z>0なる整数で互いに素)の関係を持つとき、a:b:cが整数比となる必要十分条件は、x+zy+zの最大公約数が3以下であることである。
 証明はレポート用紙10枚にもわたる大作(正直びっくりしちまった!)なので、もれなく掲載するわけにはいきません。 粗いスケッチでお許しください。
  1. 3辺a,b,cが整数比であるための必要十分条件は、cosAcosBcosCすべてが有理数なことである。
  2. nを任意の整数としたとき、cosXが有理数ならばcosnXは有理数、sinnXsinX×(有理数)の形になる。
  3. cosDが有理数であるような角Dがあり、3角形の3角A,B,Cが自然数k,l,m,nを使って次のように表せたとすれば、この3角形の3辺の比は整数比である。(ただし、nmは互いに素) A=mD(l1)π,B=kπnD,C=(nm)D+(lk)π
  4. ()A,B,Cが3角形の3角を成す条件は D>l1mπ,D<knπ,D>klnmπ. このような角Dが存在する条件は n>nlmk>0.
  5. 4.の条件下で()のようにA,B,Cを作ると nA+mB=Pπ(P=n(nlmk)) あるいはA+B+C=πを用いて (nP)A+(mP)BPC=0 が得られる。
  6. 逆に角の間に
    xA+yBzC=0
    (x,y,zは整数で互いに素、x>0y0z>0xy)
    が成立するとする。 x+zy+zが互いに素であれば n=x+z,m=y+z とおくと、4.の条件を満たすl,kが存在し、したがって()をみたす3角形で辺が整数比のものが無限に存在する。
  7. x+zy+zが4以上の共通因子sを持つとする。 nA+mB=s(nA+mB)=zπ から
    cos(nA+mB)=coszsπ.(zsは互いに素)
    ここでcoszss4において無理数より、左辺は無理数となる。 よって、1.,2.より辺の比は整数比ではありえない。
  8. x+zy+zの最大公約数が2または3の場合は、整数比の3角形は無数に存在する。

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p97-p101.

いやあ、世の中にはすごいお方がいらっしゃるもんですね。
この問題を完全に論破するというのはまさしくエレガントと言えるでしょう。
個人的に数学の面白いところの1つとして、この問題のように「問題文(主張)はシンプルだけど、考えることや導かれる事実の量が多い」があると思います。

読者の皆様への挑戦状!

今から紹介する問題の解答は今週の土曜日に解説します!

一郎君は、軸と軸受が同心円でないのに、ベアリングを入れようと考えました。ヤマカンで選んだ場所から出発して順次、軸と軸受と直前のベアリングに接するようにベアリングの球の大きさを変えながら入れていくと、なんと最後のベアリングが最初のベアリングにちゃんと接しました。ラッキー!

しかし、このような幸運に恵まれたときは、実はどこからベアリングを入れ始めてもちゃんとベアリングの輪は完結するのです。これを証明して下さい。

数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p15.

皆様の挑戦をコメントでお待ちしております!

いかがでしたか?
今回は数セミの「エレガントな解答をもとむ」に挑戦してみる、という記事でした。

読者の皆様も是非一度挑戦してみて下さい!
そして、「読者の皆様への挑戦状」にも是非挑戦していただき、解答をコメントで教えて下さい!

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