本記事の内容
本記事は『数学セミナー』(日本評論社)に掲載されている”エレガントな解答をもとむ”に出題されいている問題を1時間で解けるか、という挑戦をする記事です。
本記事を読むにあたり、前提知識は基本的に必要ありませんが、以前紹介した記事の内容を使う場合はその旨を記述することにします。
今回も「エレガントな解答をもとむ selections」に掲載されいている問題です。
前回の問題については以下の記事を御覧ください!
問題を明示します。
整数列{an}n∈Nで以下の1.、2.を満たすものを考えます;このとき、逆数からなる無限数列 ∞∑n=11an が収束し、その和Aは0<A≤1を満たすことがわかります。 たとえば、数列{2n}は上の性質を持ち、逆数和は1となります。
- 2≤a1<a2<⋯<an<an+1<⋯、
- すべてのn≥1についてan+1はanの倍数である。
さて、ここではその逆について問います。 すなわち、次のことを証明してください。
『0<A≤1なるどんな実数Aに対しても、1.、2.を満たす整数列{an}n∈Nをうまくとれば、 ∞∑n=11an=A とできる』数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p22-p23.
チャレンジの結果は…?
チャレンジの結果…解けませんでした…
前回に引き続き、解けませんでした。
惜しいところまでできたような気がしますが、惜しかろうが手も足も出なかろうが、正解できなかったという点においては同じですので、悔しいです。
筆者の解答を紹介します。(正解していないので無意味なのですが…)
証明すべきことを真正直に言い換えてみます。
任意の0<A≤1を満たすA∈Rに対して、次の1.および2.
- 2≤a1<a2<⋯<an<an+1<⋯,
- (∀n≥1) (∃k∈N) s.t. an+1=kan
です。
まずは、問題の前半を実際に確かめてみました。
{an}n∈Nをan=2nで定めます。
このとき、
∞∑n=112n=limN→∞N∑n=112n=limN→∞N∑n=112⋅(12)n−1=limN→∞12{1−(12)N}1−12=limN→∞12{1−(12)N}12=limN→∞{1−(12)N}=1
となり、たしかに正しいです。
さて、主張の証明に戻ります。
仮に、A=1なのであれば、an=2nとすればOKです。
では、0<A<1のときはどうでしょうか。
もし条件を満たすような数列{an}n∈Nがあったとして(収束するとして)、どういう数列かを見てみます。
この数列の一般項はan=a1⋅kn−1と書けます。
故に、
∞∑n=11an=∞∑n=11a1⋅kn−1=∞∑n=11a1⋅1kn−1=1a11−1r=ra1(r−1)
となります。
つまり、
ra1(r−1)=A
が成り立つはず、ということになります。
a1=2として、上記の式をrについて解けば
r=2A2A−1
となります。
つまり、
an=2⋅(2A2A−1)n−1
と定めれば良さそうだな、とわかるわけです。
このときは確かに∞∑n=11an=Aとなっています(というより、こうなるように定めたという話です)。
しかしながら、やはりこれはあくまで「条件を満たすような{an}n∈Nが存在すれば」の話です。
問題の主張は正しそうですが、この議論は証明とはなっていません。
そこで、手法をちょっとだけ変えてみました。
数列の収束で比較的使われる(筆者の印象)手法を使ってみることにしました。
n≥2でa1,⋯,anが定まっているとき、
Xn=A−n−1∑k=11ak,X1=A
と定めます。
問題の数列が存在したとして、その満たすべき条件を再度考えてみます。
nを任意に1つ固定すると、
an+j≥2an+j−1≥⋯≥2jan
だから、
1an<Xn=∞∑k=n1ak≤1an12j=2an
となります。
故に、各nに対して
1<anXn≤2
が成り立つ、ということになります。
逆にこの不等式が成り立つように条件1.および2.を満たす数列を取れば、
となります。
つまり、条件(∗)が条件1.、2.を満たす数列の逆数わがAに収束するための必要十分条件だということです。
ここで時間切れでした。
投稿されたエレガントな解答を紹介します!
実数0>A≤1を2進少数展開します;0.c1c2c3⋯ (ck=0,1)。 ただし、有限小数で表されるものは 0.c1c1⋯ct1=0.c1c2⋯ct011⋯ なる等式によって、1が無限個現れるように表現しておきます。 これを級数で表せば、 A=∞∑k=1∞∑k=1ck2k となりますから、ck=1となるkだけを小さい順に拾い出しk1,k2,⋯とすれば、{2kn}が求める数列となります。
(中略)
An=A−n−1∑k=11ak によって略記号Anを導入しておきます。 また、便宜的にA1=Aとしておきましょう。
(中略)
1<anAn≤2
(中略)
補題. 0<x≤1なる任意の実数xに対して、1<bx≤2なる整数b≥2が存在する。
この補題を使って、まず1<a1A≤2なるa1≥2を取ります。 次に、a1,a2,⋯,anまで、1.、2.(の制限)および不等式(1)が成り立つように取れたとすると、0<anAn−1≤1ですから、再び補題より1<b(anAn−1)≤2なる整数b≥2がとれます。 そこでan+1=banとおいてこれを書き直すと1<an+1An+1≤2となって、条件1.、2.および(1)を満たす数列を再帰的に定義できることが示されました。
(中略)
補題の不等式を成り立たせる最小の整数bは1b<x≤1b−1すなわちb=[1x]+1(ただし、[α]はαの整数部分)で与えられ、このとき(1)に対応する不等式は(1)よりも強い条件 1an<A≤1an−an−1 となります。 また、補題においてbを2ベキで表される整数に制限しても成り立つことはすぐにわかります。 2進数展開が可能であることは、このことから導かれるわけです。
最後に、何人かの方が指摘されたように、問題の数列の一意性が一般には成り立たないことに注意しましょう。 たとえば、2tの逆数について 12t=∞∑n=112t+n=∞∑n=11(2t+1)n 等々。 その理由は、補題のbのとり方に一意性がないことから説明できます。 さらに、bを2ベキ数に制限すると、その存在の一意性が示され、このことから2進数展開の一意性が導かれます。
(後略)数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p191-p193.
読者の皆様への挑戦状!
今から紹介する問題の解答は今週の日曜日に挑戦します!
数列{an}n∈Nは以下の漸化式で定義されるとします。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p23.
an+3=−an+2+2an+1+8ana1=a2=a3=1
このanがすべてのnについて平方数(整数の2乗)となることを証明してください。
結
いかがでしたか?
今回は数セミの「エレガントな解答をもとむ」に挑戦してみる、という記事でした。
読者の皆様も是非一度挑戦してみて下さい!
そして、「読者の皆様への挑戦状」にも是非挑戦していただき、解答をコメントで教えて下さい!
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