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limxaf(x)=±limxaf(x)=±って?(ある点付近での発散)」【解析学の基礎シリーズ】多変数関数編 その21

多変数関数

本記事の内容

本記事は多変数実数値関数の発散の一部を解説する記事です。
本記事を読むにあたり、1変数実数値関数の発散について知っている必要があるため、その際は以下の記事を参照してください。

1変数実数値関数の場合のチャラい復習

xaxaのときのf(x)f(x)を一言でのべれば、次でした。

ある点の付近では、関数ffの値f(x)f(x)はどんな実数よりも大きいときに、その関数はある点付近で発散するという。

「ある点の付近」というのは、「ある点aaとの距離がδδ未満であるようなxxに対しては」という意味です。(関数の収束と同じだネ)

“無限大”とはどんな実数よりも大きい数でした。
詳しくは【解析学の基礎シリーズ】数列の発散編 その2を参照してください。

ちなみに、負の無限大も同じです。

以上のことを論理式で書くと以下になります。

関数の発散 IIRの区間、aˉIf:IRとする。
  • への発散
  • 関数fxaのとき(正の無限大)に発散するとは、次が成り立つことをいう。 (UR)(δ>0) s.t. (xI:0<|xa|<δf(x)>U) このとき、 limxaf(x)= と書く。
  • ある点付近でのへの発散
  • 関数fxaのとき(負の無限大)に発散するとは、次が成り立つことをいう。 (LR)(δ>0) s.t. (xI:0<|xa|<δf(x)<L) このとき、 limxaf(x)= と書く。

多変数実数値関数の場合

形式的には1変数の場合とほとんど変わりません。
というより、区間が領域になってxaがそれぞれベクトルになるだけです。

多変数実数値関数の場合の、ある点付近での発散もまた、

ある点の付近では、関数fの値f(x)はどんな実数よりも大きいときに、その関数はある点付近で発散するという。

ということです。
では早速数学的に主張を明示してしまいましょう。

多変数実数値関数のある点付近での発散 ΩRnaˉΩf:ΩRとする。
  • への発散
  • 関数fxaのとき(正の無限大)に発散するとは、次が成り立つことをいう。 (UR)(δ>0) s.t. (xΩ:0<|xa|<δf(x)>U) このとき、 limxaf(x)= と書く。
  • ある点付近でのへの発散
  • 関数fxaのとき(負の無限大)に発散するとは、次が成り立つことをいう。 (LR)(δ>0) s.t. (xΩ:0<|xa|<δf(x)<L) このとき、 limxaf(x)= と書く。

実際に証明してみよう!

簡単ではありますが、実際に証明してみます。

例1. Ω=R2{(0,0)}とするとき、f:ΩRf(x,y)=1x2+y2で定められているとします。
このとき、lim(x,y)(0,0)1x2+y2=です。

証明

示したいことは
(UR)(δ>0) s.t. (xΩ:0<x2+y2<δ1x2+y2>U)
です。

まず、任意の(x,y)Ωに対して1x2+y2>0ですから、U>0のときを考えれば良いです。
任意のU>0に対して、δ=1Uとすれば、0<x2+y2<δのとき
1x2+y2>δ2>1(1U)2=U
となり、成り立ちます。

証明終わり

今回はlimxaf(x)=±について解説しました。
結局の所1変数実数値関数のときとほぼ同じで、定義域内のある点に近づくとき、関数の値がどんな実数よりも大きければ正の無限大に発散、どんな実数よりも値避ければ負の無限大に発散という、というだけです。

次回は、発散する関数が絡む極限の式の証明をします。

乞うご期待!質問、コメントなどお待ちしております!

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