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「コーシーの第二平均値定理を証明しよう!」【解析学の基礎シリーズ】1変数実数値関数の微分編 その12

微分法

本記事の内容

本記事はコーシーの第二平均値定理のイメージとその証明を与える記事です。

本記事を読むにあたり、ロルの定理について知っている必要があるため、以下の記事も合わせて御覧ください。

コーシーの第二平均値定理のを知る意味は?

「学ぶ意味は?」といわれると少々難しいのですが、この記事の目的としては、ロピタルの定理を示すためにコーシーの第二平均値定理が必要だからです。

ロピタルの定理は、名前は聞いたことがあるかもしれません。
この定理は極限における定理で、0000という不定形の場合の極限に対する事実です。
(※詳しくは次回説明します。)

このロピタルの定理は非常に有用ですので、これをを示すためにコーシーの第二平均値定理を説明します。

コーシーの第二平均値定理のイメージ

コーシーの第二平均値定理を一言で述べれば、

(a,f(a))(a,f(a))(b,f(b))(b,f(b))を結んだ直線の傾きと、(a,g(a))(a,g(a))(b,g(b))(b,g(b))を結んだ直線の傾きとの比が、f(x)f(x)g(x)g(x)の接線の傾きの比が一致するようなccc(a,b)c(a,b)が存在する。

ということです。

「なんじゃそりゃ」と思うかもしれません(筆者は思いました)。
実は、コーシーの第二平均値定理は媒介変数表示されるような曲線について考えるととてもイメージが付きやすいと思います。

x=g(t)x=g(t)y=f(t)y=f(t)と媒介変数表示された曲線を考えてみます。
イメージとしては、ttが時間で、x=g(t)x=g(t)y=f(t)y=f(t)で表される曲線上を点が動いている、というものです。

この曲線が以下の図のような曲線だったとします。

この曲線において、(g(a),f(a))(g(a),f(a))(g(b),f(b))(g(b),f(b))をつないだ直線を考えてみます。
この直線の傾きはf(b)f(a)g(b)g(a)f(b)f(a)g(b)g(a)です。

このとき、傾きがf(b)f(a)g(b)g(a)f(b)f(a)g(b)g(a)と一致するようなx=g(t)x=g(t)y=f(t)y=f(t)と媒介変数表示された曲線の接線がありますよ、というのがコーシーの第二平均値定理です。

すなわち、

媒介変数表示された曲線の端点を結ぶ直線と、同じ傾きの接線が少なくとも1つは存在する。

ということなのです。

コーシーの第二平均値定理の明示とちょっとした説明

では、コーシーの第二平均値定理を明示します。

定理1.(コーシーの第二平均値定理) I=[a,b]I=[a,b]f:IRg:IRは連続で、fgは開区間(a,b)で微分可能であるとし、g(a)g(b)とする。また、fgは同時に0にならない、すなわち (x(a,b)) f(x)0g(x)0 とする。 このとき、 (c(a,b)) s.t. f(b)f(a)g(b)g(a)=f(c)g(c) が成り立つ。

ここで、g(x)=xとしてみましょう。
このとき、gIで連続で、(a,b)で微分可能です。
このとき、g(x)=1により、g(x)0です。
従って、このときコーシーの第二平均値定理の主張は、
(c(a,b)) s.t. f(b)f(a)ba=f(c)
となります。
これはまさに平均値の定理です。

平均値の定理は何だったか、というと、以下でした。

平均値の定理 f:[a,b]Rは連続で、(a,b)で微分可能であるとする。このとき、 (c(a,b)) s.t. f(b)f(a)ba=f(c) である。

平均値の定理の証明は【解析学の基礎シリーズ】1変数実数値関数の微分編 その8をご覧ください。

すなわち、コーシーの第二平均値定理は平均値の定理の一般化となっています。
実は、平均値の定理の証明と同じように証明できます。

証明の発想

結局の所、平均値の定理の証明の発想とほぼ同じです。
つまり、ロルの定理を使えるようにうまく関数を定めます。

ロルの定理は何だったか、というと、以下でした。

ロルの定理 f:[a,b]Rは連続で、(a,b)で微分可能、f(a)=f(b)が成り立つとする。このとき、 c(a,b) s.t. f(c)=0 が成り立つ。

(コーシーの第二平均値定理の証明へジャンプ)

平均値の定理の証明の場合は、
φ(x)=f(x)f(b)f(a)ba(xa)
として、φにロルの定理を適用させて証明しました。

この場合、ロルの定理からφ(c0)=0というc0(a,b)に存在するので、
φ(c0)=0=f(c0)f(b)f(a)ba
となり、
f(c0)=f(b)f(a)ba
が導かれて、見つけたいc(a,b)の正体はc0だったね、というオチでした。

今回の場合も
f(b)f(a)g(b)g(a)=f(c)g(c)
が出現するようにφを定めます。
もし仮に、①を満たすようなcが存在したとして、①を変形すると、
f(c)(g(b)g(a))g(c)(f(b)f(a))=0
となります。
つまり、
f(c)(g(b)g(a))g(c)(f(b)f(a))=0=φ(c)
というφを見つければ良さそうです。
ここで、f(b)f(a)g(b)g(a)定数ですので、
φ(x)=f(x)(g(b)g(a))g(x)(f(b)f(a))
とすれば良いな、とわかります。
そして、このφIで連続かつ(a,b)で微分可能です。

これでOKだな、となるわけです。

いざ、証明

では、証明に入りましょう。
コーシーの第二平均値定理を再掲しておきます。

定理1.(コーシーの第二平均値定理) I=[a,b]f:IRg:IRは連続で、fgは開区間(a,b)で微分可能であるとし、g(a)g(b)とする。また、fgは同時に0にならない、すなわち (x(a,b)) f(x)0g(x)0 とする。 このとき、 (c(a,b)) s.t. f(b)f(a)g(b)g(a)=f(c)g(c) が成り立つ。

コーシーの第二平均値定理の証明

φ(x)=f(x)(g(b)g(a))g(x)(f(b)f(a))
とすれば、φI=[a,b]で連続かつ(a,b)で微分可能です。
さらに、

  • φ(a)=f(a)(g(b)g(a))g(a)(f(b)f(a))=f(a)g(b)f(a)g(b)
  • φ(b)=f(b)(g(b)g(a))g(b)(f(b)f(a))=f(b)g(a)+g(b)f(a)

となるので、φ(a)=φ(b)です。
従ってφロルの定理(←クリックすると本記事のロルの定理に飛ぶ事ができます)を適用することができます。

従って、
(c(a,b)) s.t. 0=φ(c)=f(c)(g(b)g(a))g(c)(f(b)f(a))
です。
故に、「fgは同時に0にならない」という仮定と、g(b)g(a)という仮定から、g(c)0だと分かります。
実際、仮にg(c)=0だとすると、③により、
f(c)(g(b)g(a))=0
となり、g(b)g(a)からf(c)=0となってしまい、「fgは同時に0にならない」という仮定に反してしまいます。

さて、g(c)0ということが分かりましたので、③を変形すると、
f(b)f(a)g(b)g(a)=f(c)g(c)
となって、c(a,b)を見つけることができました。

コーシーの第二平均値定理の証明終わり

今回はコーシーの第二平均値定理の証明をしました。
イメージとしては、

媒介変数表示された曲線の端点を結ぶ直線と、同じ傾きの接線が少なくとも1つは存在する。

ということです。
さらに、この定理はロピタルの定理の証明に使います。

次回はロピタルの定理を証明します。

乞うご期待!質問、コメントなどお待ちしております!

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