本記事の内容
本記事は指数関数、対数関数、三角関数の連続性を実際に証明してみる記事である。
本記事を読むにあたり、関数の連続性について知っているとより理解が深まると思われるので、その際は以下の記事を参照してください。
序
前回の記事(【解析学の基礎シリーズ】関数の極限編 その10)で述べた初等関数のうち、多項式関数、有理関数、定数関数、無理関数は既に証明しているので、これらの証明が知りたい方はそれぞれ以下を参照してください。
指数関数がRで連続であることの証明
証明に入る前に流れを説明する。
- (ステップ1):指数法則と、「積の極限は極限の積と等しい」という事実を使って示したいことを簡略化する。
x→bではなく、実はx→0のときにax→1であることを示せばOKということが分かる。 - (ステップ2):x→0のときにax→1であることを示す。
- おしまい。
(証明)
正直に証明するならば、
(∀ϵ>0)(∃δ>0) s.t. (∀x∈I:0<|x−b|<δ⇒|ax−ab|<ϵ)
を示せば良いのだが、今回は「指数法則」と「積の極限は極限の積」(【解析学の基礎シリーズ】関数の極限編 その3)を使うことによって、より簡単に証明ができる。
(ステップ1)
limx→bax=limx→bab+(x−b)=limx→b(ab⋅ax−b)=(limx→bab)⋅(limx→bax−b)(積の極限は極限の積だから。)=ab⋅(limx→bax−b)(定数関数の極限はその定数に収束するから。)
であるから、limx→bax−b=1であれば良い。
すなわち、
limx→0ax=1
が成り立てば良い。
実際、A=limx→bax−b⇒A=limx→0axが成り立つからである。
なぜならば、A=limx→bax−bとしたとき、
(∀ϵ>0)(∃δ>0) s.t. (∀x∈I:0<|x−b|<δ⇒|ax−A|<ϵ)
が成り立っている。
このとき、y=x−bとすると|y|=|x−b|∈Rであり、0<|y|<δである。
今、|ax−b−A|<ϵが任意のϵ>0で成り立っているのだから、|ay−A|<ϵも成り立っている。
これはまさにA=limx→0axである。
(ステップ2)
(補題2.の証明)
示したいことは、
(∀ϵ>0)(∃δ>0) s.t. (∀x∈I:0<|x|<δ⇒|ax−1|<ϵ)
である。
要は、上記を満たすδを見つけてきなさいということである。
aについて2つの場合に分ける。
①a>1のとき
任意のϵ>0に対して、ϵ1=min{ϵ,12}とすると、0<ϵ≤12
が成り立つ。
ここで、
δ=min{−loga(1−ϵ1),loga(1+ϵ1)}
とする。(※余談1参照)
このときδ>0である。
実際、a>1であり、ϵ1≤12<1により、loga(1−ϵ1)<0だからである。
さて、|x|<δなるx∈Rに対して、
|x|<δ⇔−δ<x<δ⇔(loga(1−ϵ1)<x<−loga(1−ϵ1))または(−loga(1+ϵ1)<x<loga(1+ϵ1))
δは−loga(1−ϵ1),loga(1+ϵ1)のうち小さい方を採用するのだから、xの範囲としては狭いようなδを採用することになる。
故に、
|x|<δ⇒loga(1−ϵ1)<x<loga(1+ϵ1)⇒1−ϵ1<ax<1+ϵ1⇒−ϵ1<ax−1<ϵ1⇒|ax−1|<ϵ1
ここで、ϵ1=min{ϵ,12}だったことを思い出すと、|ax−1|<ϵ1<ϵである。
従って、a>1のときは
(∀ϵ>0)(∃δ>0) s.t. (∀x∈I:0<|x|<δ⇒|ax−1|<ϵ)
が成り立った。

故に
|x|<δ⇒loga(1−ϵ1)<loga(1+ϵ1)⇒1−ϵ1<ax<1+ϵ1⇒−ϵ1<ax−1<ϵ<1⇒|ax−1|<ϵ1
ここで、ϵ1=min{ϵ,12}だったことを思い出すと、|ax−1|<ϵ1<ϵである。
従って、a>1のときは
(∀ϵ>0)(∃δ>0) s.t. (∀x∈I:0<|x|<δ⇒|ax−1|<ϵ)
が成り立った。
②0<a<1のとき
b=1aとすることで、b>1となるから、先の場合と同様の議論になる。
従って、
limx→0bx=1
が成り立つ。
すなわち、
limx→0ax=limx→0(1bx)=limx→01limx→0bx=11=1
故にこの場合も、limx→0ax=1が成り立つ。
- a=1のときは、limx→0ax=limx→01=1により成り立つ。
(Q.E.D.)
従って、補題2.が成り立ったので、命題1.が成り立つ。
(Q.E.D.)
余談1(δのとり方)
やはり、難しいのはδのとり方である。
さらに今回はϵについても若干特殊なことをした。
今回は補題2.の証明の①a>1のときを例に取って、筆者がどう考えたかを伝える。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜筆者の頭の中〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
|x|<δならば|ax−1|<ϵが成り立つようなδ>0が仮にあったとしよう。
すなわち
|x|<δ⇔−δ<x<δ
が成り立つということだ。
目標としては|ax−1|<ϵを示したいのだから、δを逆算するためにこの式を変形してみる。
|ax−1|<ϵ⇔−ϵ<ax−1<ϵ⇔1−ϵ<ax<1+ϵ
仮に1−ϵ>0ならば、真数条件を満たすからloga(1−ϵ)<x<loga(1+ϵ)が成り立つ。
ということはδとしてloga(1−ϵ)かloga(1+ϵ)の小さい方をを取れば良い。
しかしa>1だからloga(1−ϵ)<0であるし、ここには注意しなければならない。
まずはϵについて考えてみる。
ϵ>0は任意の実数なのだから、必ずしも1−ϵ>0ではない。
では、必ず1−ϵ>0となるようにϵ>0を書き直す。
1−ϵ>0となれば良いのだから、1>ϵ>0であれば良い。
仮にϵ=12(実際は13でも1100でも良い)であればよい。
では、任意のϵ>0と12のうち、小さい方をϵ1と名付ける。
こうすれば、12より大きい正の実数はϵで表現でき、12より小さい正の実数もϵで表現できる。
さらにϵ1は常に1−ϵ1>0である。
次はδ。
先程決めたϵ1をつかうと、δの候補としてはloga(1−ϵ1)かloga(1+ϵ1)の小さい方だが、loga(1−ϵ1)<0だから、−loga(1−ϵ1)>0である。
従って、−loga(1−ϵ1)かloga(1+ϵ1)の小さい方をδとすればδ>0であり、かつ|x|<δだ。
実際、δ=−loga(1−ϵ1)ならば、−loga(1−ϵ1)<loga(1+ϵ1)だから、−δ<x<δ⇒loga(1−ϵ)<x<loga(1+ϵ)が成り立つ。
一方δ=loga(1+ϵ1)ならば、loga(1+ϵ1)<−loga(1−ϵ1)であるから、−δ<x<δ⇒loga(1−ϵ)<x<loga(1+ϵ)が成り立つ。
従って
δ=min{−loga(1−ϵ1),loga(1+ϵ1)}
である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜筆者の頭の中おしまい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
対数関数がR>0で連続であることの証明
対数関数の場合は指数関数よりも正直な証明方法である。
ただし、指数と対数の関係は使う。
とはいえ、むしろ指数と対数の関係しか使わないという点においては誠にシンプルである。
(証明)
示したいことは
(∀ϵ>0)(∃δ>0) s.t. (∀x∈I:0<|x−b|<δ⇒|logax−logab|<ϵ)
である。
①a>1のとき
c=logabとすると、b=acが成り立つ。
任意のϵ>0に対して、
c−ϵ<c<c+ϵ
が成り立つ。
加えて、b′=ac−ϵ、b”=a^{c+\epsilon}とおくと、a>1のときは
b'<b<b”
が成り立つ。

ここで、
\delta=\min\left\{ b”-b,b-b’ \right\}
とすれば、\delta>0である。(余談2参照)
|x-b|<\deltaなるx\in\mathbb{R}に対して、
\begin{eqnarray} |x-b|<\delta&\Rightarrow&b'<x<b”\\ &\Rightarrow&\log_ab'<\log_ax<\log_ab”\\ &\Rightarrow&c-\epsilon<\log_ax<c+\epsilon\\ &\Rightarrow&\log_ab-\epsilon<\log_ax<\log_ab+\epsilon\\ &\Rightarrow&|\log_ax-\log_ab|<\epsilon \end{eqnarray}
従って、a>1のときは\displaystyle\lim_{x\to\ b}\log_ax=\log_abが成り立つ。
②0<a<1のとき
a>1と殆ど同じ方法で証明できる。
c=\log_abとすると、b=a^cが成り立つ。
任意の\epsilon>0に対して、
c-\epsilon<c<c+\epsilon
が成り立つ。
加えて、b’=k^{c-\epsilon}、b”=k^{c+\epsilon}とおくと、0<a<1のときは
b”<b<b’
が成り立つ。
ここで、
\delta=\min\left\{ b’-b,b-b” \right\}
とすれば、\delta>0である。
|x-b|<\deltaなるx\in\mathbb{R}に対して、
\begin{eqnarray} |x-b|<\delta&\Rightarrow&b”<x<b’\\ &\Rightarrow&\log_ab”<\log_ax<\log_ab’\\ &\Rightarrow&c-\epsilon<\log_ax<c+\epsilon\\ &\Rightarrow&\log_ab-\epsilon<\log_ax<\log_ab+\epsilon\\ &\Rightarrow&|\log_ax-\log_ab|<\epsilon \end{eqnarray}
従って、0<a<1のときも\displaystyle\lim_{x\to\ b}\log_ax=\log_abが成り立つ。
以上から、\lim_{x\to\ b}\log_ax=\log_abである。
(Q.E.D.)
余談2(\deltaのとり方)
今回も命題1.の①a>1のときを例にとる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜筆者の頭の中〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
指数関数と同じようにやってみる。
|x-b|<\deltaならば|\log_ax-\log_ab|<\epsilonが成り立つような\delta>0が仮にあったとする。
|x|<\delta\Leftrightarrow -\delta<x<\delta
が成り立つということだ。
目標としては|\log_ax-\log_ab|<\epsilonを示したいのだから、\deltaを逆算するためにこの式を変形してみる。
\begin{eqnarray} |\log_ax-\log_ab|<\epsilon&\Leftrightarrow&-\epsilon<\log_ax-\log_ab<\epsilon\\ &\Leftrightarrow&\log_ab-\epsilon<\log_ax<\log_ab+\epsilon \end{eqnarray}
今、a>1なのだから、
\begin{eqnarray} \log_ab-\epsilon<\log_ax<\log_ab+\epsilon&\Rightarrow&a^{\log_ab-\epsilon}<a^{\log_ax}<a^{\log_ab+\epsilon}\\ &\Leftrightarrow&a^{\log_ab-\epsilon}<x<a^{\log_ab+\epsilon} \end{eqnarray}
これが成り立っていれば良い。
従って候補はa^{\log_ab-\epsilon}とa^{\log_ab+\epsilon}のうち、小さい方だな。
しかしこれは記号が乱立しているため新しい記号を導入する。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜筆者の頭の中おしまい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
結
今回は指数関数と対数関数が\mathbb{R}で連続であることを証明した。
多項式関数やらとは少々毛色が違ったのだが、指数と対数の法則を”うまく”使うことで証明ができる。
【解析学の基礎シリーズ】関数の極限 その7および【解析学の基礎シリーズ】関数の極限編 その9で述べたように、連続な関数の和・差・積・商も連続な関数(商だけは特別)、連続な関数の合成関数もまた連続な関数であるから、前回の記事(【解析学の基礎シリーズ】関数の極限編 その10)で列挙した例
- 例4. g:\mathbb{R}\to\mathbb{R}、g(x)=2^{\frac{x}{3}}
これは、f(x)=x^{\frac{1}{3}}とg(x)=2^xの合成関数。 - 例6. g_3:\mathbb{R}_{>0}\to\mathbb{R}、\displaystyle g_3(x)=\frac{\log x}{x^2}
これは、f(x)=\log xとg(x)=x^2の商を取った関数。
が連続な関数であることが分かる。
次回は三角関数と逆三角関数がそれぞれ特定の範囲で連続であることを示す。
乞うご期待!質問、コメントなどお待ちしております!
この記事の内容をより詳しく知りたい方は以下のリンクの本を参照してください!
ちなみに「解析概論」は日本の歴史的名著らしいので、辞書的にもぜひ1冊持っておくと良いと思います!
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