本記事の内容
本記事はコーシー列のイメージを説明する記事です。
本記事は数列の収束と密接に関係しているため、以下の数列の収束の記事も合わせてご覧ください。
コーシー列の直感的な理解
前回の記事(【解析学の基礎シリーズ】実数の連続性編 その15)の余談その2で述べたことを掻い摘んでもう一度述べます。
「数列が収束するとは?」という条件を別の視点から言い換えてみます。
数列\(\{a_n\}_{n\in\mathbb{N}}\)が\(a\in\mathbb{R}\)に収束するというのは、
$$(\forall \epsilon>0)(\exists N\in\mathbb{N}\ {\rm s.t.}\ \forall n\in\mathbb{N}\ n\geq N\Rightarrow |a_n-a|<\epsilon)$$
が成り立つということでした。
これは今まで、直感的には
ということだ、と説明してきました。
しかし、言い方を変えてみると、
とも言えるのです。
どういうことかと言うと、「ある番号\(N\)以降は全部\(|a_n-a|<\epsilon\)が成り立つ」のだから、その番号までは、すなわち\(N-1\)番目までは\(|a_n-a|\geq\epsilon\)が成り立つということです。
つまり、\(|a_n-a|\geq\epsilon\)が成り立つような\(a_n\)は\(N-1\)個しか無いのだから有限個しか存在しないのです。
より直感的に言えば、
ということなのです。
これを更に言い換えてみれば、収束する数列は
です。
この発想から得られた概念がコーシー列なのです。
この発想の立場に立ってみれば、「コーシー列も収束するんじゃね?」という意識もあまり抵抗がないのではないかと思われます。
結
今回はコーシー列のイメージを説明しました。
一言で言えば、「ある番号以降の数列の値同士は十分近いのだ」ということです。
次回は「コーシー列ってどんなの?」という題でどのような数列がコーシー列なのかということの例とその証明を与えます。
乞うご期待!質問、コメントなどお待ちしております!
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