本記事の内容
本記事は『数学セミナー』(日本評論社)に掲載されている”エレガントな解答をもとむ”に出題されいている問題に、1時間で解けるか、という挑戦をする記事です。
本記事を読むにあたり、前提知識は基本的に必要ありませんが、以前紹介した記事の内容を使う場合はその旨を記述することにします。
今回は「エレガントな解答をもとむ selections」に掲載されいている問題です。
問題①
今回は虫食い算の問題です。
◻の中に適当な数字を入れて(ただし各数の最高位には0を入れない)式を完成させるモンdないが虫食い算です。その中でも数字がまったく出ていない問題を完全虫食い算と呼びます。下の問題はその一例です。
一見手のつけようがなさそうですが、実はこの問題には大きな手がかりがあって、それが見つかればそう苦しまずに解くことができます。
ひとつこの問題に挑戦してみてください。数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p8.
いざ、チャレンジ
チャレンジの結果….解けませんでした….
悔しい….
解決の糸口っぽいものを見つけることはできましたが、場合を絞りきれずに時間切れでした。
仮にその方法で解けたとしても力技ですので、”エレガント”とは呼べないような気がしています。
筆者の回答
まず、0が入ることが確定している部分があります。
それが以下です。

すると、5行目と6行目に着目してみると、5行目はX000( Xは1から9)の数の形をしていて、6行目は何かはわかりませんが4桁の数です。
それらを引き算して1桁の数になっている、というわけですので、6行目はY99Z(YとZは1から9)となっています。
故に、次のようになっています。

どうやら糸口は6行目のようです。
さて、6行目の数はどのように出現するか、というと商の小数第4位の数と割る数との積です。
要するに、3桁×1桁Y99Zの形をしている組み合わせを探してきなさい、ということになります。
ここで、少々不安になりました。
「これは力技だな…エレガントではない…」と思ってしまいました。
しかし、それ以外に解けそうな手法が思いつかなかったので、このまま進めてみることにしました。
今の問題を書き直すと、
ということになります。
「泥臭く解くしかないのかな…」と半ばあきらめて計算してみました。
まず、w=2のときを考えました。
このとき、x≥5です。
さもなくばw(100x+10y+z)が4桁の数になりません。
- x=5のとき
x′=1でなければなりません。
すると、
2(500+10y+z)=1000+990+y′⇔20y+2z=990+y′
となって、これを満たすようなy,z,y′は存在しません。 - x=6のとき
x′=1でなければなりません。
すると、
2(600+10y+z)=1000+990+y′⇔20y+2z=790+y′
となって、これを満たすようなy,z,y′は存在しません。
以下、同様にしてx=9まで計算しても条件を満たすようなy,zは存在しません。
次にw=3の場合を考えてみました。
このとき、x≥3です。
- x=3のとき
x′=1でなければなりません。
900+30y+3z=1000+990+y′⇔30y+3z=1090+y′
となって、これを満たすようなy,z,y′は存在しません。 - x=4のとき
x′=1でなければなりません。
1200+30y+3z=1000+990+y′⇔30y+3z=790y′=30y+3z
となって、これを満たすようなy,z,y′は存在しません。
ここで時間切れでした。
仮に時間があったとしたら、解けはすると思いますが、力技ですのであまりよい解答ではないと思います。
「どんなエレガントな解答があるのかなあ」と期待しながら解答を見てみます。
投稿されたエレガントな解答とその感想
ところで、出題のときに「この問題には大きな手掛かりがある」と書いておいたが、表向き数字は出ていないが、実は◻の中に入る数字が確定している箇所がかなりある。それらの数字を入れ、あとの説明に必要な箇所の◻を文字の置き換えると次のようになる。
この問題の6,7段目のように、上のブロックとも下のブロックとも重ならない部分があるブロックを、筆者は棚型とよび、重ならない箇所を「棚」とよんでいる。棚方は小数点以下の箇所にあると初めて威力を発揮し、棚の箇所はすべて上が0で下が9になる。
(中略)
代表的な解き方は、7,7段目に目をつけて積がR99Sとなるものを選び、Q000(Q=R+1)から引いたあまり(T)がAより大きいものだけを抜き出す。すると次の13種が得られる。カッコの中はTである。
a)3×664=1992(8)b)4×498=1992(8)c)4×748=2992(8)d)5×399=1995(5)e)6×332=1992(8)f)6×499=2994(6)g)7×285=1995(5)h)7×713=4991(9)i)8×249=1992(8)j)8×374=2992(8)k)8×499=3992(8)l)8×624=3992(8)m)8×749=5992(8)
次に、P+R=9であることに注目して、それぞれのRからPを求めて、その妥当性を探ると、b)とi)、つまりABCが498と249の場合だけが残る。最後にT00(=800)をこの2数で割ってみると、あまりが3桁になるのは498だけで、b)だけが妥当であることがわかり、これで除数が1つにしぼられた。あとは実際に式に当てはめて計算して求めれば良い。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p49-p50
これを見たときに正直に筆者は「これはエレガントなのか?」と思いました。
「結局力技じゃないか?」と。
筆者の目の付け所は間違っていなかったようですが、解答にあるような13種類を見つけるのが難しい、という話なのであって、「見つけられますよね?」といわれたとて「まあ、見つけられるかもしれませんけど、地道にやるしかないんですか?」と筆者は腑に落ちませんでした。
「一意性はどうなんだろう?」という疑問は、この回答を見て解決できました。
問題②
次の問題も虫食い算です。
◻の中に適当な数字を入れて、縦、横に展開しているすべての計算式が成り立つようにするパズルを、虫食い算の中でもとくに十字問題と呼んでいます。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p8.-p9.
図の十字問題を解いてみてください。じっくりと問題を見ていると、手がかりが見えてくると思います。ただし、最高位を表す◻や、1桁の数を表す◻の中へは、0をいれてはいけません。
◻◻×◻=◻◻◻+×+◻◻−◻=◻+×+◻÷◻=◻××+◻◻+◻=◻◻◻∥∥∥◻◻◻◻+◻=◻◻◻◻
いざ、チャレンジ
チャレンジの結果…..一応解けたが論破はできませんでした。
「論破はできなかった」というのは、◻に数字を当てはめることはできたのですが、解がそれしか存在しないということが言い切れなかった、という意味です。
では、筆者の解答を紹介します。
筆者の解答
まず、次のように名前をつけて、行列のように捉えます。
1⋯◻◻×◻=◻◻◻+×+2⋯◻◻−◻=◻+×+3⋯◻÷◻=◻××+4⋯◻◻+◻=◻◻◻∥∥∥5⋯◻◻◻◻+◻=◻◻◻◻⋮⋮⋮123
筆者がまず目をつけたのが2列目です。
1から9までの数を4つ掛け合わせて1桁の数になっている場合は少ないのではないか?という発想です。
そこで、どういう場合が考えられるかを列挙してみました。
1)9×1×1×1=92)8×1×1×1=83)7×1×1×1=74)6×1×1×1=65)5×1×1×1=56)4×1×1×1=47)3×1×1×1=38)2×1×1×1=29)1×1×1×1=110)2×2×1×1=211)2×2×2×1=812)3×2×1×1=613)3×3×1×1=914)4×2×1×1=8
これらの並び替えです。
思っていたよりもパターンが多かったので失敗したかもしれないなあ、と若干不安になりました。
とはいえ、これのどれかに答えがあるわけですから、地道に計算してみます。
まずは一番上の9×1×1×1=9のパターンです。
すると(2,1)成分と(2,3)成分の値が確定します。
◻◻×9=◻◻◻+×+10−1=9+×+◻÷1=◻××+◻◻+1=◻◻◻∥∥∥◻◻◻◻+9=◻◻◻◻
すると、(4,1)成分と(4,3)成分が確定します。
◻◻×9=◻◻◻+×+10−1=9+×+◻÷1=◻××+99+1=100∥∥∥◻◻◻◻+9=◻◻◻◻
すると、(1,3)成分は最大で99×9=891ですので、(5,3)成分は最大で1009です。
今、(2,3)成分と(4,3)成分がそれぞれ9と100で確定しているので、先程の値で確定します。
99×9=891+×+10−1=9+×+◻÷1=9××+99+1=100∥∥∥◻◻◻◻+9=1009
あとは、(3,1)成分が9で確定するので、(5,1)成分が1000で確定です。
従って、
99×9=891+×+10−1=9+×+9÷1=9××+99+1=100∥∥∥1000+9=1009
が導かれます。
しかし、解がこれしか存在しないのか、ということは確認できませんでした。
(たまたまうまく行っただけに過ぎないので…)
投稿されたエレガントな解答とその感想(前略)
(前略)
1⋯◻◻×◻=◻◻◻+×+2⋯◻◻−◻=◻+×+3⋯◻÷◻=◻××+4⋯◻◻+◻=◻◻◻∥∥∥5⋯◻◻◻◻+◻=◻◻◻◻⋮⋮⋮123
このように、各行、各列に番号を振り、各数を表すのに、m行n列目の数なら(m,n)と記すことにしよう。代表的な解法を示すと、次のようになる。
まず、4行目に注目すると、
(4,3)≤99+9=108
(2,3)と(3,3)は9以下であるから、
(1,3)≥1000−108−9−9=874
すると1行目は
99×9=89198×9=882
の2通り考えられるが、いずれにしても(1,2)=9である。したがって2列目は、(2,2)=1、(3,2)=1、(4,2)=1、(5,2)=9に決定する。これより、(2,1)=10、(2,3)=9、(4,1)=99、(4,3)=100となる。
また、(3,1)×(4,1)≥1000−99−10=891であるから、(3,1)=9、(5,1)=1000であることがわかる。
したがって(1,1)=99、(5,3)=1009、(1,3)=891、(3,3)=9となり、全部の数が確定した。(中略)
もう一つは、まず1列目に注目して、(3,1)を8と仮定した場合、h後かの値を最大にとっても
(5,1)=99+99+8×99=918
となり、(5,1)が4桁にならないことから、(3,1)は9に決定する。これを糸口として解いていいくやり方である。(後略)
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p53.-p54.
なんとまあ、すごいというか、「そこに目をつけるのか!」とびっくりしました。
特に「(3,1)を8と仮定した場合…」の解答は「なるほど…」としっくり来ました。
そうなると、筆者の解答はまさに運が良かっただけであって、たまたま見つけたに過ぎず、解が一意的かどうかもわからないため、全然エレガントでないことがわかりました。
答は出たが、正解ではない、という感じでしょうか。
少々残念です。
結
いかがでしたか?
今回は数セミの「エレガントな解答をもとむ」に挑戦してみる、という記事でした。
虫食い算って難しいですね….解けはするけど「解き切った!」と言い切れない感じが歯がゆいです。
読者の皆様も是非一度挑戦してみて下さい!
そして、「こんな解答を思いついた!」というのがあれば是非コメントで教えて下さい!
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