本記事の内容
本記事は『数学セミナー』(日本評論社)に掲載されている”エレガントな解答をもとむ”に出題されいている問題を1時間で解けるか、という挑戦をする記事です。
本記事を読むにあたり、前提知識は基本的に必要ありませんが、以前紹介した記事の内容を使う場合はその旨を記述することにします。
今回も「エレガントな解答をもとむ selections」に掲載されいている問題です。
前回の問題については以下の記事を御覧ください!
問題を明示します。
数列{an}n∈N{an}n∈Nは以下の漸化式で定義されるとします。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p23.
an+3=−an+2+2an+1+8ana1=a2=a3=1
このanがすべてのnについて平方数(整数の2乗)となることを証明してください。
チャレンジの結果は…?
チャレンジの結果…解けました。
これは隣接四項間漸化式の解き方を知っていれば、ちょっとのヒラメキで解けます。
筆者の解答を紹介します。
数列{an}n∈Nの一般項を求めること自体は単純な隣接四項間漸化式の問題のため、大したことではありません。
隣接四項間漸化式
{an+3=−an+2+2an+1+8ana1=a2=a3=1
の特性方程式は
λ3+λ2−2λ−8=0
です。
λ=2とすれば、
8+4−4−8=0
となるため、多項式λ3+λ2−2λ−8は(λ−2)を因数に持ちます。

故に、求めるλは
λ3+λ2−2λ−8=(λ−2)(λ2+3λ+4)
を満たすλとなります。
したがって、
λ=2,−3+√7i2,−3−√7i2
です。
ここで、
{α=2β=−3+√7i2γ=−3−√7i2
とすれば、{an}n∈Nは
an=Aαn+Bβn+Cγn
という形をしているので、
an=A⋅2n+Bβn+Cγn
です。
今、a1=a2=a3=1であるから、β2とγ2をそれぞれ計算することで
{2A+−3+√7i2B+−3−√7i2C=14A+1−3√7i2B+1+3√7i2C=18A+9+4√7i2B+9−4√7i2C=1
という連立方程式が立ちます。
これを解けば(骨が折れますが…)、
(A,,B,C)=(27,−17,−17)
となります。
したがって、
an=27⋅2n−17βn−17γn=17(2n+1−βn−γn)
となるわけです。
すなわち、問題は
ということになります。
ここで数分悩みました。
常套手段であろう複素数の共役の性質を使うことが鍵になりそうだな、という安易な考えと、(⋅)2という形に変形したいということと、βとγに√7iという複素数が出現することから
ω=1+√7i2
という複素数に着目してみることにしました。
ω2を計算してみると、
ω2=−3+√7i2=β
となりました。
どうやら見立てはあっていた模様です。
同様にしてω3を計算してみましたが、ω3=5−2√7iとなり、特に関係はなさそうでした。
「であれば、もしかして¯ω2がγになってたりして」と思い、¯ω2を計算してみました。
すると
¯ω2=−3−√7i2=γ
となり、予想は正しかったようです。
ここで「αはどうすっかな」となりました。
今までの話から、ωと¯ωを使えばなんとかなりそうな気がしたので、ω⋅¯ωを計算してみると、
ω⋅¯ω=2=α
となり、道がひらけました。
今の状況をまとめれば、
{ω2=β¯ω2=γω⋅¯ω2=α=2
です。
これを見たとき、「ああ、なるほど。(ωn+¯ωn)2がなにか関係してそうだな」と思いました。
実際に計算してみると、
(ωn+¯ωn)2=ω2n+2ωn¯ωn+¯ω2n=βn+2⋅2n+γn
となりました。
ちょっと惜しかったです。
符号が違ってました。
(ωn−¯ωn)2=ω2n−2ωn¯ωn+¯ω2n=βn−2⋅2n+γn
ですので、
an=17(2n+1−βn−γn)=−17(βn−2⋅2n+γn)=−17(ωn−¯ωn)2={i√7(ωn−¯ωn)}2
となります。
さて、新たに
bn={i√7(ωn−¯ωn)}2
とすると、問題は、
ということになります。
先程より難度が下がった気がします。
ここで、ωに対してもっと情報はないかな?と考えました。
すると、実はωは二次方程式λ2−λ+2=0の解であることがわかりました。
なぜ分かったかと言うと単に(x−ω)(x−¯ω)を展開してみたからです。
さて、ωは二次方程式λ2−λ+2=0の解であることから、この二次方程式を特性方程式として見ることで、bnは次の隣接三項間漸化式を満たすということがわかります。
bn+2−bn+1+2bn=0
この漸化式からb1=b2=−1だとわかります。
ということは、b1,b2∈Zで、任意のn∈Nでbn+2−bn+1+2bn=0を満たすわけですから、任意のn∈Nに対してbn∈Zということが分かるわけです。
投稿されたエレガントな解答
筆者は愚直に解いたため、出題者が用意している解答と似ている部分がありましたが、それについては省きます。
(前略)
λ=2,α,β(α=−3+√7i2, β=−3−√7i2)
(中略)
17{2n+1−βn−γn}
ここで、γ=1+√72、δ=1−√72とおくと
γ2=α,δ2=β,γδ=2
となるので、
an={i√7δn−i√7γn}
とかける。(中略)
bn=i√7(δn−γn)
(中略)
ところが、bnが(4)をみたすことを知ってしまえば実は漸化式を説かなくて良いと気づきます。(4)でbnを定義すれば、b2n=anが帰納法で示せるのです。たとえば(中略)しは以下のように計算しました。
b2n=an、b2n+1=an+1、b2n+2=an+2を仮定すると
an+3=−an+2+2an+1+8an=−b2n+2+2b2n+1+8b2n=−b2n+2+2b2n+1+2(bn+1−bn+2)2=(bn+2−2bn+1)2=b2n+3
幽霊の正体みたりナントヤラ、ですね。このbnは
1,1,,−1,−3,5,7,−3,⋯
ですから、anの平方根のうち適度に正負を振り分ければbnがみつあるのですが、それは無理というものでしょう。性の平方根だけでなんとかしようとした方々は、 (mod 3)、 (mod 5)、 (mod 7)等で分類されていました。
また複素根を極座標表示して、3角関数へ持ち込み、チェビシェフ多項式との関連を指摘してくださった方々もおりました。出題者の予期せぬ出会いでした。
一般化としては、(中略)氏が同じ拡張を教えて下さいました。
bn+2=αbn+1+βbnに対し、anを
{an+3=(α2+β)an+2+(α2+β)βan+1−β3ana1=b21,a2=b22,a1=(αb2+βb1)2
で定義すると、an=b2nがわかります。
また、(中略)氏は以下のような漸化式をみつけてくれました。
b2n+3=−b2n+1+2b2n+1+48bn+1bn+32b2nb1=b2=b3=1
こうすると、biは整数であるばかりでなく、平方数であるという恐るべき性質を持っています。(つまり右辺を計算すると必ず4乗数になる!)しかけは簡単ですが、胸がドキドキする拡張でした。最後にこれまでとまったく異なるアプローチの解答を紹介することにしましょう。
(中略)
数列γnを
γn+2=2n−γ2n+1γn,γ1=γ2=1
で定義すると、この数列γnが以下をみたすことを帰納法で示しました。
- γnは奇数、特にγn≠0。
- γn=3γn−2−4γn−4(n≥5)
- γ2n+3γ2n−1+4γ2n−2=2n(n≥3)
(証明は、少々工夫した計算が必要)すると3.を用いて、
2(γ2k+3γ2k−1+4γ2k−2)=γ2k+1+3γ2k+4γ2k−1
整理して、γ2k+1=−γ2k+2γ2k−1+8γ2k−2。
これとγ1=γ2=γ3=1からan=γ2nが得られます。(中略)
もっともユニークで、もっとも筆者好みの解答は、(中略)から寄せられました。
(中略)氏は次の関係式を帰納法で示しました。
(an+3−an+2)2=64an+1an
するとこの式からanが平方数であれば、an+1も平方数であることがわかります。(後略)
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p195-p198.
読者の皆様への挑戦状!
今から紹介する問題の解答は来週の日曜日に挑戦します!
次の数列は有名なフィボナッチ数列です。
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,⋯
これは最初の項をa0とすると、a0=a1=1、n>1の一般項anは
an=an−1+an−2
と表すことができます。つまり、一般項は直前の2つの項の和というわけです。では、
1,1,2,3,3,4,5,5,6,6,6,8,8,8,10,9,10,11,11,12,12,12,12,16,14,14,16,16,16,16,20,17,17,20,21,19,⋯
という数列の一般項はどう表現されるでしょう?(ヒント)フィボナッチ数列ほど単純ではありませんが、最初のa0=a1=1は同じで、an (n>1)はそれまでに出てきた2つの項の和になっています。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p23.
前回の問題は【1時間チャレンジシリーズ】挑戦㉘を御覧ください!
結
いかがでしたか?
今回は数セミの「エレガントな解答をもとむ」に挑戦してみる、という記事でした。
読者の皆様も是非一度挑戦してみて下さい!
そして、「読者の皆様への挑戦状」にも是非挑戦していただき、解答をコメントで教えて下さい!
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