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「連続な多変数ベクトル値関数と連続な実数値関数の積も連続な関数」「連続な多変数ベクトル値関数の内積も連続な関数」【解析学の基礎シリーズ】多変数関数編 その10

多変数関数

本記事の内容

本記事は

  • 連続な多変数ベクトル値関数と連続な実数値関数の積も連続な関数
  • 連続な多変数ベクトル値関数の内積も連続な関数

ということを説明する記事です。

本記事を読むにあたり、多変数ベクトル値関数の連続について知っている必要があるため、その際は以下の記事を参照してください。

多変数ベクトル値関数の連続のチャラい復習

多変数ベクトル値関数の連続をチャラく復習します。
イメージとしては

サラッとですが、イメージを復習しておきます。

  • 実数値関数の場合
    • 曲面の場合、定義域(領域)内のとある点において、穴が無い。もしくは、定義域(領域)内のどの点でも穴が無い。
    • 曲線の場合、定義域(領域)内のとある点において、途切れていない。もしくは、定義域(領域)内のどの点でも途切れていない。
  • ベクトル値関数の場合
    矢印が連続的に変化する。

でした。

一方これを数学で表現すると、

多変数ベクトル値関数の連続 ΩRnの領域、f:ΩRmとする。
  • aΩとする。faΩで連続(continuous at a)であるとは、 limxaf(x)=f(a) が成り立つことをいう。
  • すなわち、 (ϵ>0)(δ>0) s.t. (xΩ; 0<|xa|<δ|f(x)f(a)|<ϵ) が成り立つことをいう。
  • fΩで連続である(continuous on Ω)とは、任意のaΩに対して、faで連続であることをいう。
  • すなわち、 (aΩ)(ϵ>0)(δ>0) s.t. (xΩ: 0<|xa|<δ|f(x)f(a)|<ϵ) が成り立つことをいう。

でした。
さらに、

多変数ベクトル値関数の連続と同値な命題 ΩRnの領域、f:ΩRmとする。
  • faΩで連続であることはfi (i=1,2,,m)aΩで連続であることが必要十分条件である。
  • fΩで連続であることはfi (i=1,2,,m)Ωで連続であることが必要十分条件である。

から多変数ベクトル値関数が連続かどうかは成分ごとに考えれば良い、ということでした。
詳しくは、【解析学の基礎シリーズ】多変数関数編 その8を御覧ください。

連続な多変数ベクトル値関数と実数値関数の積もまた連続な関数

定義域と終域が一致している連続な多変数ベクトル値関数と実数値関数は積をとってもまた連続な関数です。
まずは、主張を明示してしまいましょう。

定理1. ΩRnの領域、f:ΩRmg:ΩRとする。
  • aΩとし、fgaで連続とするとき、g(x)f(x)aで連続である。すなわち、 limxag(x)f(x)=g(a)f(a) が成り立つ。
  • fgΩで連続とするとき、g(x)f(x)Ωで連続である。すなわち、 (aΩ)limxag(x)f(x)=g(a)f(a) が成り立つ。

さて、実はこれの証明は既に行っているようなものです。
というのも、次を既に証明しているからです。

定理2.(多変数ベクトル値関数と実数値関数の積の極限) ΩRnRnの領域、f:ΩRmおよびg:ΩRを写像(関数)、aˉΩARmBRとする。xaのときf(x)Aに、g(x)Bに収束するとする。 このとき、 limxag(x)f(x)=(limxag(x))(limxaf(x))=BA が成り立つ。

この事実(定理2.)の証明は【解析学の基礎シリーズ】多変数関数編 その4を御覧ください。

定理1.定理2.において、A=f(a)B=g(a)とすれば良いからです。

そういう意味で定理1.の証明は既に終わっているようなもの、ということです。

連続な多変数ベクトル値関数の内積も連続な関数

定義域と終域が一致している連続な多変数ベクトル値関数同士は内積をとってもまた連続な関数です。
主張を明示してしまいましょう。

定理3. ΩRnの領域、f:ΩRmg:ΩRmとする。
  • aΩとし、fgaで連続とするとき、(f(x),g(x))aで連続である。すなわち、 limxa(f(x),g(x))=(f(a),g(a)) が成り立つ。
  • fgΩで連続とするとき、(f(x),g(x))Ωで連続である。すなわち、 (aΩ)limxa(f(x),g(x))=(f(a),g(a)) が成り立つ。

実はこれの証明も既に行っているようなものです。
というのも、次を既に証明しているからです。

定理4.(多変数ベクトル値関数の内積の極限) ΩRnRnの領域、f:ΩRmおよびg:ΩRmを写像(関数)、aˉΩARmBRmとする。xaのときf(x)Aに、g(x)Bに収束するとする。 このとき、 limxa(f(x),g(x))=(limxaf(x),limxag(x)) が成り立つ。

この事実(定理2.)の証明は【解析学の基礎シリーズ】多変数関数編 その4を御覧ください。

定理1.定理2.において、A=f(a)B=g(a)とすれば良いからです。

そういう意味で定理1.の証明は既に終わっているようなもの、ということです。

本当に成り立つのかネ?

いつもの通り、例を挙げます。

例1.f:R2R2g:R2R
f(x)=(xy),g(x)=x+y
で定められているとします。
このとき、limx(1,1)(x2+xyy2+xy)=(22)ですので、確かにg(x)f(x)(1,1)で連続です。

この極限の証明は【解析学の基礎シリーズ】多変数関数編 その4を御覧ください。

例2. f:R2R2g:R2R2
f(x)=(xy),g(x)=(yx)
で定められているとします。
このとき、

このとき、

  • limx(a,b)(f(x),g(x)))=limx(a,b)2xy=2ab,
  • (limx(a,b)f(x),limx(a,b)g(x))=((ab),(ba))=2ab

今回は

  • 連続な多変数ベクトル値関数と連続な実数値関数の積も連続な関数
  • 連続な多変数ベクトル値関数の内積も連続な関数

ということを説明しました。
結局の所、多変数ベクトル値関数と実数値関数の積の極限、多変数ベクトル値関数の内積の極限から直ちに分かるということでした。

次回は連続な多変数ベクトル値関数と連続な実数値関数の商もまた連続な関数(条件が必要です)である、ということを説明します。

乞うご期待!質問、コメントなどお待ちしております!

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