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有界な単調列は収束する

実数の連続性

本記事の内容

本記事は「有界な単調列は収束する。」という命題をワイエルシュトラスの上限公理から証明する記事です。

本記事を読むにあたり、ワイエルシュトラスの上限公理と数列の極限について知っている必要があるので、以下の記事も合わせてご覧ください。

↓ワイエルシュトラスの上限公理

↓数列の極限

有界な単調列は収束する

「有界な単調列は収束する。」という命題はワイエルシュトラスの上限公理から証明することができます。
ワイエルシュトラスの上限公理は何だったかというと、次でした。

ワイエルシュトラスの上限公理(上限公理、有界性公理) ARAAは上に有界であるとする。このときAの上限supAが存在する。 つまり、上に有界かつ空でないRの任意の部分集合は上限を持つ。

ワイエルシュトラスの上限公理のデデキントの定理からの導出は【解析学の基礎シリーズ】実数の連続性編 その5を御覧ください。

主張を明確にしましょう。

命題5. 上に有界な単調増加列はその上限に収束する。すなわち、数列{an}nN
  • (SR) s.t. (nN anS),
  • (nN) anan+1
を満たすならば、 (αR) limnan=α である。 さらに、α=Sである。

実は、この命題の証明は難しくありません。
「上限とは何だったか?」を思い出せば直ちに分かります。
従って、「ちょっと証明してみようかな」と思う方は以下を読む前に一度挑戦してみてほしいです。

証明

仮定から、数列{an}nNが上に有界であるので、ワイエルシュトラスの上限公理から、集合{annN}には上限Sが存在します。
S{annN}の上限なのだから、

  • (nN) anS,
  • (ϵ>0) (N0N) aN0>Sϵ.

が成り立ちます。
少々ジャンプしたような気がするので補足しておくと、上記のワイエルシュトラスの上限公理において、A={annN}です。
従って、上限とは何を満たす実数であるかを思い出し、そのまま書けば、

  • (anA) anS,
  • (ϵ>0)(aN0A s.t. aN0>Sϵ)

となるはずです。
前者の(anA)という部分は「何番目のanに対しても」という意味ですが、これは単に「どんなn番目に対しても」と言いかえることができます。
後者の(anA)という部分も同様に「とあるN0番目が存在して」と言いかえることができます。
従って、

  • (nN) anS,
  • (ϵ>0) (N0N) aN0>Sϵ.

となります。
このとき、
(ϵ>0)(NN s.t. (nN)nN|anS|<ϵ)
を示せば良いです。
今、(ϵ>0) (N0N) aN0>Sϵを満たすようなN0を見つけることができます。
従って、NとしてN0を採用すると、Sϵ<aNを満たしているということです。
このとき、nNを満たすような任意のnNに対して、数列{an}nNが単調増加数列であることから、aNanです。
また、Sは集合{annNの上限であるので、{annNの上界であるから、anSです。
これをまとめれば、nNなるnNに対して
Sϵ<aNanS
です。
故に、ϵanS0です。
従って、
|anS|<ϵ
以上のことから、
(ϵ>0)(NN s.t. (nN)nN|anS|<ϵ)
が示されたので、上に有界な単調増加数列はその上限に収束します。

証明終わり

同様にして、次の命題も証明することができます。
命題5.と殆ど同じことをするので、下記を読む前に是非一度命題5のマネをして次を証明してみてください。
とはいえ、ワイエルシュトラスの上限公理の下限ver.が必要になるため、それを明示しておきます。

ワイエルシュトラスの上限公理の下限ver. ARAAは下に有界であるとする。このときAの下限infAが存在する。 つまり、下に有界かつ空でないRの任意の部分集合は下限を持つ。

この命題の証明は与えませんが、ワイエルシュトラスの上限公理の証明と同様にして証明ができます。
故に本質的には上限公理が重要なのです。

命題6. 下に有界な単調減少数列はその下限に収束する。すなわち、数列{an}nN
  • (LR) s.t. (nN anL),
  • (nN) anan+1
を満たすならば、 (αR) limnan=β である。 さらに、β=Lである。

証明

仮定から、数列{an}nNが下に有界であるので、ワイエルシュトラスの上限公理の下限ver.から、集合{annNには下限Lが存在します。
L{annNの下限であるのだから、

  • (nN) anL,
  • (ϵ>0) (N0N) aN0<L+ϵ.

が成り立ちます。

このとき、
(ϵ>0)(NN s.t. (nN)nN|anL|<ϵ)
を示せば良いです。
今、(ϵ>0) (N0N) aN0<L+ϵを満たすようなN0を見つけることができます。
従って、NとしてN0を採用すると、L+ϵ<aNを満たしているということです。
このとき、nNを満たすような任意のnNに対して、数列{an}nNが単調減少数列であることから、aNanです。
また、Lは集合{annNの下限であるので、{annNの下界であるから、anLです。
これをまとめれば、nNなるnNに対して
L<anaNL+ϵ
です。
故に、0anL<ϵです。
従って、
|anL|<ϵ です。
以上のことから、
(ϵ>0)(NN s.t. (nN)nN|anL|<ϵ)
が示されたので、下に有界な単調減少数列はその下限に収束します。

証明終わり

命題5.と命題6.をまとめることによって、次の定理を得ます。

定理7. 有界な単調列は収束する。

実数の連続性との関係は?

至ってシンプルです。
定理7.「有界な単調列は収束する。」という定理は「上に有界な単調増加列はその上限に収束し、下に有界な単調減少列はその下限に収束する。」と言い換えられます。
これはまさに「実数の十分近くにまた実数がある」ということなのです。
極限の、特に数列の収束に対する直感的な理解に戻ってみましょう。(そもそも「実数の十分近くにまた実数がある」というのは直感的な理解なので。)
数列の収束は「数列の項の番号を限りなく大きくしていくとき、数列の値がある値に限りなく近づく状態」を数列の収束というのでした。
この”限りなく近づく”という部分がまさに「実数の十分近くにまた実数がある」ということを保証しているのです。

実は、定理7.は以前の記事で紹介した「デデキントの定理」および「ワイエルシュトラスの上限公理」と同値です。
今回に限って言えば、我々はワイエルシュトラスの上限公理を仮定して、定理7.を導きましたが、その逆も成り立つというわけです。
今回はその証明は与えません。
次回の「区間縮小法」を説明し、証明した後に、これら4つがそれぞれ同値であるということを述べます。
※直接的に一個一個証明を与えるのではなく、区間縮小法からデデキントの定理を証明することで間接的に同値性を示します。詳しくは次回です。

今回は「有界な単調列は収束する。」という命題をワイエルシュトラスの上限公理から導きました。

「有界な単調列は収束する。」は数列の収束が「数列の項の番号を限りなく大きくしていくとき、数列の値がある値に限りなく近づく状態」と直感的に理解できることから、「実数の十分近くにまた実数があるということを保証している」と、直感的に思えます。
したがって、そういう意味では実数の連続性と関連があります。

さらに、次回に回すのだが、今回まで扱ってきた

  1. デデキントの定理
  2. ワイエルシュトラスの上限公理
  3. 有界な単調列は収束する。

はそれぞれ同値です。
これは、直接一つ一つ示すのではなく、次回の「区間縮小法」を3.から証明し、3.から1.を証明することで、それぞれ同値であることを示します。

次回は「区間縮小法?」です。

乞うご期待!質問、コメントなどお待ちしております!

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