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「写像…?何すか写像って?」〜写像のイメージをつかもう!〜【論理と集合シリーズ】写像編 その1

写像

本記事の内容

本記事は「写像…?何すか写像って?」という問に答えるために、写像のイメージを説明する記事である。
「写像とはこれのことです!」ということは後の記事で述べることにして、本記事ではあくまでイメージを伝える。
写像は関数の極限を語る上で避けては通れない概念である。
この記事を読むに当たり、論理と集合の初歩を知っている必要があるため、そこに不安がある方は以下の記事を参照してください。
※シリーズ化しているため、その一部を掲載しています。

「写像…?何すか写像って?」

このセリフは皆さんご存知だと思われる。
(ご存知ない方はぜひ一度ググってみるとすぐ出てきます。結構面白いです。)
このセリフは某論破王が投げかけたものだが、それよりも評論家の方が「写像」という言葉を知っている事に筆者は驚いた。

そんなことはさておいて、「写像…?何すか写像って?」というセリフに出てくる写像とこれから解説する写像は似て非なるものであるということをここに述べておく。

写像と関数はほとんど同じもの

早速ネタバラシしておくと、「写像…?何すか写像って?」という問いかけには「数学においてはほぼ関数と同じものです。」と答えることができる。
「”ほぼ”ってどういうことよ?」という話なのだが、数学において”関数”と言ったらば「何か数値に対して、とある新たな数値を対応付けるときの規則」という意味で使うことが多い。
この概念の本質は「ある対象に対して、別の対象(同じ場合もある)と対応付けする規則」が写像なのである。
故に、数値同士にだけでなく、数値とモノ、モノとモノの対応規則もありうる。
従って、”ほぼ”同じもの、なのである。

言うなれば「関数は数値を対象とした対応規則。写像は数値だけでなくモノをも対象とした対応規則。」ということである。
しかし、これは立場の一つに過ぎない。
専門書によっては「写像=関数」と説明している書籍もある。
要は「写像=関数と捉えても良いし、関数をより広くしたモノが写像であると捉えても良い。」というわけである。
本記事では後者、すなわち「写像と関数は”ほぼ”同じモノだけれども扱う対象によって、写像か関数かを呼び分けますよ。」という立場を取る。
例えば、大雑把に言えば「\(f(x)=x^2\)」と言われたらば「この\(f\)は関数だね。」といい、「\(f(カレー)=スプーン\)」と言われたらば「この\(f\)は写像だね。」ということにする。
※何だこの記号は!となるかもしれないが、後述する。

「んー。なんかしっくりこないな。」という方は「関数と写像は同じモノ」という立場を取ってもらっても構わない。
いずれの立場を取ったとしても変わらない事実は

関数は写像である。

ということだ。

「なんだろう。もうちょっと詳しく教えてもらってもいいすか?」

(某論破王の影響を受け過ぎな気もするよね。と心の中でつぶやく。)

今、写像とは「ある対象に対して、別の対象とを対応付けする規則」と述べた。
これを少々厳密に言えば、写像と2つの集合の要素に対する対応関係であるということである。
ただし、これだけでは写像とは言えず、他にも条件があるのだが、例を述べたあとに言及する。

余談(筆者の体験談なので読み飛ばしてOK)

実は、数学において立場が別れるという状況は写像にのみおこることではない。
筆者が知っている場合としては自然数に対する立場である。
自然数は素朴に言えば「モノを数えるときに使う数です。」である。
この自然数に「\(0\)を入れるか、入れないか」で立場が変わる。
例えば、皿の上にリンゴが2個あったとする。
このとき「皿の上にリンゴは何個ありますか?」といわれたらば、もちろん「2個です。」と答える。
一方で皿の上に何も乗っていないときに「皿の上にリンゴは何個ありますか?」と言われたらどうだろうか。
「リンゴはありません。」と答えたくなるのではないか。
しかし、「\(0\)個です。」と答えたとしても筋は通っている。
したがって、\(0\)を入れる立場が存在するわけである。
筆者が数論の問題について講演(といえるほど大それたものではなかったが)したときは「オノさんが言っている自然数というのは\(0\)は入ってますか?」と質問が来た。
「んなもん、入ってるわけねえだろうが。見りゃ分かんだろ。」と思いながら「いえ、入っていません。自然数と行ったら正の整数のことです。」と述べておいた。
\(0\)を自然数として捉える人もやはりいるのだなあ、と思った瞬間だった。
今更ながら、本記事、本シリーズ、というより私が書く記事すべてにおいて、自然数に\(0\)は含まない立場で語っている。

今回は某論破王の言葉を借りながら写像のイメージを述べた。

とどのつまり、写像とは2つの集合の(ときには3つやら複数)要素同士の対応のことである。
高校数学までで学んできた関数は須らく写像であり、$f(x)=x^2$という関数は、$x$に対して$x^2$という数を対応させますよ、というアルシュの規則が$f$である、という意味だったのだ。

中学数学的に言えば、$y=x^2$は実数$x$に、$x^2$というある種の規則で実数$y$を対応させてますよ、ということである。

次回は、具体的に写像とはどんなものか、ということの例を挙げる。

乞うご期待!質問、コメントなどお待ちしております!

この記事の内容をより詳しく知りたい方は以下のリンクの本を参照してください!
ちなみに、「集合・写像・論理ー数学の基本を学ぶ」の方が入門者にはオススメです!

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