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「数列が”発散する”ことのイメージをつかもう!」〜直感から論理へ〜【解析学の基礎シリーズ】数列の発散編 その1

解析学

本記事の内容

本記事は数列が発散することのイメージを説明し、また直感的な理解から論理的な理解への橋渡しをする記事である。

本記事を読むにあたり、数列の収束について知っているとより理解しやすいと思われるので、その際は以下の記事を参照してください。

数列の発散のイメージ

以前数列の収束を説明する際に、サラッと説明したことが全てである。
数列{an}nNが発散する、ということの直感的な理解は、「値がどんどん際限なく大きくなっていく(または、小さくなっていく)」ということである。
言い換えれば、「ある値に近づくことなく、値が大きくなる(小さくなる)」ということである。

簡単ではあるが、例をいくつか挙げる。

例1.
{an}nNan=nで定められているとする。 このとき、数列{an}nNの値はある値に近づくことなく、際限なく大きくなる。
実際、

  • a1=1,
  • a2=2,
  • a3=3,
  • a100=100,
  • a1000000=1000000,

となる。

例2.
{bn}nNbn=nk=11kで定められているとする。
これも数列である。
この数列{bn}nNの値もある値に近づくことなく、際限なく大きくなる。
実際、

  • b1=1,
  • b2=32=1.5,
  • b3=116=1.833333,
  • b100=144666362795203511602215180431041314477112788815009188499086581352357412492142272=5.187,

である。

例3.
{cn}nNcn=2nで定められているとする。 この数列{cn}nNの値はある値に近づくことなく、際限なく小さくなる。

  • c1=2,
  • c2=4,
  • c3=8,
  • c100=1267650600228229401496703205376,

直感から論理へ

数列の収束を説明する際、”限りなく近づく”という直感を論理で記述するために「数学的に”近い”ってどういうこと?」を説明した(「数列の収束って?」)。

実は、そのとき”限りなく大きくなる(小さくなる)”ということについてもほんのちょっとだけ説明したのだが、ズルをしてあまり語らなかった。
(「何となく分かるっしょ?」ということでちょろまかしてしまった。ごめんなさい。)

さて、”大きくなる”および”小さくなる”というのは、”大きい”および”小さい”という言葉から来ているわけだが、大きい、小さい、すなわち大小関係というのは、比較する対象があって初めて分かることである。
【論理と集合シリーズ】その1で述べたように、「1億円は大金である。」という主張は命題でない。
しかし、一方で基準を定めることで命題となるのだった。
つまり、2つのモノを比較することによって初めて大小関係は意味を持つのである。
従って、”大きくなる”ということは、とある比較対象があって、それを大きい方へどんどん更新していっても大小関係は変わらないということである。
“限りなく”ということは、いくら大きい方へ比較対象を更新したとしても、という意味である。
“小さくなる”も同様である。

これを少々言い換えてみると、「どんな実数に対しても、その実数よりも大きい。」ということが”限りなく大きい”ということなのである。
同様に、「どんな実数に対しても、その実数よりも小さい。」ということが”限りなく小さい”ということなのである。

これを論理式で書けば、

  • Aは限りなく大きい。
    (UR) A>U
  • Bは限りなく小さい。
    (LR) B<L

実は、このAおよびBがそれぞれおよびなのである。

今回は少々予定を変えて、数列の発散のイメージから論理的な理解への橋渡しをした。

限りなく大きくなるというのは、どんな実数よりも大きくなるような状態だ、ということである。

次回は無限大について説明する。

この記事の内容をより詳しく知りたい方は以下のリンクの本を参照してください!
ちなみに「解析概論」は日本の歴史的名著らしいので、辞書的にもぜひ1冊持っておくと良いと思います!

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