本記事の内容
本記事は『数学セミナー』(日本評論社)に掲載されている”エレガントな解答をもとむ”に出題されいている問題に、1時間で解けるか、という挑戦をする記事です。
本記事を読むにあたり、前提知識は基本的に必要ありませんが、以前紹介した記事の内容を使う場合はその旨を記述することにします。
今回も「エレガントな解答をもとむ selections」に掲載されいている問題です。
前回の問題については以下の記事を御覧ください!
では、問題
各面の頂点の番号の和がすべて等しくなるように立方体の頂点に1,2,⋯,8の番号をふるふり方は全部で何通りありますか。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p17.
いざ、チャレンジ
チャレンジの結果…解けました。
今回は力技でも十分太刀打ちできるという意味で比較的難易度は優しかったように思えます。
筆者の解答
今回の問題を見た瞬間に「ああ…幾何の問題っぽく書いてあるけど、また魔法陣みたいな問題か…苦手なんだよな…」と思いました。
解いてみてもやっぱり苦手でした。
結局力技で解きました。
以下の図のように頂点に名前をつけました。

なにはともあれ、一番最初に知りたいのは、各面の各頂点の番号の和が一体何なのか、ということです。
これについては、なんてことありませんでした。
各面の頂点の番号の和をSと置くことにしましょう。
このとき、立方体には6つの面が存在するので、和は6Sです。
そして、この6Sには1,…,8のすべての番号が3回重複して和を取られていますので、
3×(1+2+3+4+5+6+7+8)=6S
となります。
1+2+3+4+5+6+7+8=36なので、2S=36となり、S=18と求まるわけです。
さて、後は力技です。
力技といっても結局はパターン数を聞かれているに過ぎないので、場合の数を使えばそこまでゴリ押しというほどでもありません。
頂点Aは回転を駆使することでほか全ての頂点の位置に移動が可能ですので、A=1としてもOKです。
1を含んで和が18となるような1,…,8までの数の4つ組の組み合わせは、
(1,2,7,8),(1,3,6,8),(1,4,5,8),(1,4,6,9)
のたった4つだけです。
頂点Aを含む面は3つだから、上記の4つのパターンのうち、不適なものがない限りは3つを選ぶということになります。
- (1,2,7,8),(1,3,6,8),(1,4,5,8)
→8が3回出現するため不適。 - (1,2,7,8),(1,3,6,8),(1,4,6,7)
- (1,2,7,8),(1,4,5,8),(1,4,6,7)
- (1,3,6,8),(1,4,5,8),(1,4,6,7)
1.だけは8が3回出現するため、不適です。
ほかは、2回出てくる数をB,D,Eに対応させるような場合を除けば2通りずつです。
その他の点は自動的に決まります。
したがって2×3=6通りとなり、これが答えです。
投稿されたエレガントな解答
正解は、立方体を動かせないものと解釈したバア144通り、回転で重なり合うものを同じふり方とみなした場合6通り、さらに鏡像の関係になっているものも同じとみなした場合3通りです。どの解釈をしたかが明治されていれば、いずれの答でも正解です。
(中略)
以下、立方体をABCD−EFGHとし、各頂点にふられる番号をa,b,⋯,hとします。面の和と書いたら、面に属する頂点の番号の和を意味することにします。立方体を回転することにより、a=1と仮定しても一般性を失いません。
解1(場合分けによる解答) a=1としたので、次に2の場所により場合分けをする。回転により、b=2、c=2、g=2の3つの場合のみを考えればよい。それぞれの場合について、必要ならさらに場合分けをしていくと、b=2のときは不適、c=2のときは4通り、g=2のときは2通りの解が得られる。よって、合計6通り。
(中略)
さて、他の解法を紹介しましょう、次の事実は基本的です。
(1)各面の和は18である。
実際、一定の面の和をSとすると、拡張点はそれぞれ3つの面に登場し、面は全部で6個あるので、
(1+2+⋯+8)×3=6S.
これからS=18。(なお、他の正多面体では、Sが正数になりません。)解2(面に着目) 和が18となる4つの数の組で1を含むものは{1,2,7,8},{1,3,6,8},{1,4,5,8},{1,4,6,7}の4組のみ。Aを含む面は3つあるので、上記の4組のうち異なる3組を選ぶと、
- (1,2,7,8),(1,3,6,8),(1,4,5,8)
- (1,2,7,8),(1,3,6,8),(1,4,6,7)
- (1,2,7,8),(1,4,5,8),(1,4,6,7)
- (1,3,6,8),(1,4,5,8),(1,4,6,7)
となる。このうち、最初の組み合わせは8が3回登場するので不適。他の3つの組合せでは、2回答上する数をB,D,Eに配置する方法が回転を除いて2通りずつあり、それにより残りの頂点の番号は自動的に決まってしまうので、合計6通りの配置ができる。ある面の和が18ならその対面の和も18になることは明らかなので、これらの配置が全て問題の条件を満たす。
次に辺についての性質に着目した解答を示しましょう。
(2)面を共有しない平行な2辺の和は互いに等しい。
隣り合う2面の和は等しく、それぞれから共通辺の和を引いた残りも等しいことから明らか。
(3)1の隣に2,3,5はない。
実際、1+2=3で、和が3となる数のペアは他にないので、(2)より1,2を端点にもつ辺はない。1+3=4で、和が4となるペアは他にないので、(2)より1,3を端点にもつ辺はない。1+5=6で、和が6となるペアはこれと2+4=6しかないが、残りの数3,6,7,8を和が12となる2組のペアに分けることはできない。
次は鍵となる命題です。(4)1の隣には必ず8がある。
実際、1の隣に8がないとすると、(3)より1の隣は4,6,7。1+4+6+7=18は面和Sに等しいので、例えば1,4,6を含む面の第4の頂点に7がなければならず、数7が2箇所にあって矛盾。
以上の(1)、(2)、(4)から、次の著しい性質が示されます。(5)辺和が9となる平行な4辺がある。
解4(和が9となる辺に着目) 1から8までの正数を和が9となるペアに分割すると1+8、2+7、3+6、4+5の4組のみ。(4)より、a=1、e=8としてよい。このとき、b+f=c+g=d+h=9である。(3)よりb,dは4,6,7のうち異なる2つである。(1)より、b,c,dは4,6,7の並べ替え6通りの可能性がある。f,g,hの値はb,c,dの値に応じてそれぞれ決まる。どの場合も下面、側面の和が全て18であることは明らか。よって、回転を除き、6通りの番号のつけ方がある。
さて、正多面体の性質を調べるとき、中心に関して\mathcal{G}_nな頂点の性質に注目するのは、一つの常套手段です。そのような考え方による解答を紹介しましょう。
(6)中心に関して対称な頂点の番号の差は一定である。
実際、(2)よりたとえばa+d=f+g。移行してg−a=d−f。他の辺のペアについても行うと、g−a=b−h=e−c=d−f(=mとおく)となる。なお、a=1より、m>0。
(7)上記の差をmとすると、m=1,2または4である。
これは、より一般的な次の命題から分かります。
(8)1,2,⋯,nを、差がmである2数のペアに分割することができるならば、mはn2の約数である。
1,2,⋯,mは(mを引くと1より小さくなってしまうので)m+1,m+2,⋯,2mとペアを組むほかはない。残った数について同様な議論を繰り返す。
解4(対称点の値の差に着目) m=1のとき、正四面体ACFHの拡張点に1,3,5,7の番号をふるふり方が回転で重なり合うものを除いて2通り。立方体の中心に関しそれぞれに対称な点にはmを加えた番号をふる。m=2、m=4のときも同様で、合計6通り。
次に、奇数の分布に注目した考え方を紹介しましょう。
(9)どの面も奇数を2箇所に含む。
実際、(1)より面和は偶数なので、どの面も奇数を偶数個含む。もし奇数がないとすると和は2+4+6+8=20、もし奇数が4個あるとすると和は1+3+5+7=16となり、いずれにしても(1)に矛盾する。
解5(奇数に着目) 両端がともに奇数である辺を奇辺とよぶ。(9)を満たす奇数の配置のうち、奇辺を含むものは、2つの奇辺が面を共有せずに平行である場合に限られ、(2)より1+7=3+5の形。また、奇辺を含まないものは、奇数が性4明太の頂点に並ぶ配置に限られ、(3)より2は1と対称な点に決まり、他の偶数の位置も順次決まる。
さて、(3)、(4)より、1を除く7数のうち、1と必ず隣り合う数が1つ、絶対に隣り合わない数が3つあることになります。解を調べると、残りの3つは隣り合うことも隣り合わないこともあることが分かります。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p128-p133.
(中略)しは、このことが、1だけではなくどの数についても成り立つことを、具体的にすべてのペアを分類することによって示しています。したがって、上ではa=1と仮定して話を勧めましたが、実は、。どの数から出発しても全く同様に議論できるはずだったのです。このような高度の対称性はいったいどこから来るのでしょうか。
そのことを考えるために、解の変換に目を向けて見ましょう。明らかに、ひとつの解における各頂点の番号xを一斉に9−xに置き換えたものも条件を満たします。
この置き換えは2解繰り返すともとに戻り、実は事実(5)により、立方体を鏡に映すことと同じです。では、立方体の回転と鏡映以外にこのような「解の変換」はないのでしょうか。
(中略)氏は次の変換を発見しました。
{f(2n)=n+4f(2n−1)=n
この変換は3解繰り返すと元に戻ります。さらに、各番号から1を引いた0,1,⋯,7を2進3桁の0,1列で表わしたとき、上記の変換fはビットをサイクリックに入れ替えることに対応していること、6個の解は0,1の3次元世界でのビットの位置の入れ替えで説明できることを突き止めています。
鏡映で移りあわない3つの解は実はこのような自然な変換で移りあっていたのです。自然な変換で移りあうものを同じとみなすならば、解は本質的には1通りであるという答え方も許されるのではないでしょうか。設問の文章に若干の曖昧さがあったのはそのような解答を期待していたからでした。
読者の皆様への挑戦状!
次の不等式で表される空間図形はどんな形でしょうか。図示してください。
数学セミナー編集部編(2001)『エレガントな解答をもとむ selections』日本評論社 p18.
|x+y+z|+|−x+y+z|+|x−y+z|+|x+y−z|≤4
(ヒント) |X|=max(X,−X)
前回の問題は【1時間チャレンジシリーズ】挑戦⑱を御覧ください。
結
いかがでしたか?
今回は数セミの「エレガントな解答をもとむ」に挑戦してみる、という記事でした。
読者の皆様も是非一度挑戦してみて下さい!
そして、「読者の皆様への挑戦状」にも是非挑戦していただき、解答をコメントで教えて下さい!
質問、コメントなどお待ちしております!
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