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「三角関数の不定積分の計算方法(t=tanx2t=tanx2の置換)」【解析学の基礎シリーズ】積分編 その21

積分法

本記事の内容

本記事は三角関数の不定積分の計算、特に三角関数の有理式の不定積分の計算方法について解説する記事です。

本記事を読むにあたり、置換積分について知っている必要があるため、以下の記事も合わせてご覧ください。

数Ⅲを思い出してみます。

まずは、筆者の思い出と共に、高校数学ではどのように三角関数の積分を計算していたかを思い出します。

t=tanx2t=tanx2と置換しなさい。」と指導を受けた話。

数Ⅲを履修していた方は、テスト前などに沢山の積分の問題を解いたかと思います。
そうすると段々と「あ。これはこのパターンだ。」ということが見えてきますよね。
筆者はこれを「眼力」と勝手に呼んでいます。
筆者の主観ではありますが、三角関数が絡む積分は比較的慣れるまで、つまり眼力がつくまで時間がかかった記憶があります。

そんな中、(高校の教科書に載っていたかは記憶がありませんが)先生に

「三角関数の積分で迷ったらt=x2t=x2と置換して積分しなさい。」

と指導を受けた記憶があります。
中学数学のイメージで言うところの、「二次方程式で因数分解が思いつかなかったら解の公式を使いなさい。」に対応する感じだと思われます。

筆者はこの指導を受けたとき「本当かよ?」と思いましたが、t=tanx2t=tanx2と置換することで有理関数の積分になり、「確かに解けるな」となりました。

しかし、「なぜt=tanx2t=tanx2と置換すると良いのか?」という疑問は残り、そのまま高校を卒業しました。

今回は、t=tanx2t=tanx2という置換による積分がなぜ正しいか、ということをお話します。

t=tanx2t=tanx2という置換で積分を計算してみます。

例1. 1cosx dx1cosx dxを計算してみます。

高校数学で習う解き方

まずは、t=tanx2t=tanx2と置換せずに、別の置換でもって計算してみます。

1cosx dx=cosxcos2x dx=cosx1sin2x dx
であるので、t=sinxとすると、dtdx=cosxだから、
cosx1sin2x dx=11t2 dt=1t21 dt
となります。

実は、このブログで既にこの型の積分の原始関数が分かっているので、一発で
1t21 dt=12log|t1t+1|+C=12log|t+1t1|+C=12log|sinx+1sinx1|+C=12log|1+sinx1sinx|+C
と出すことができます。
ただし、Cは積分定数です。

別の方法としては、11t2を部分分数分解する方法があります。
11t2=A1t+B1+t=A(1+t)+B(1t)(1+t)(1t)=(AB)t+A+B(1+t)(1t)
により、
{AB=0A+B=1
を解くことで、A=B=12と求まります。
故に、
11t2=12(11t+11+t)
となります。

従って、
11t2 dt=12(11t+11+t) dt=12(log|1t|+log|1+t|)+C=12log|1+t1t|+C=12log|1+sinx1sinx|+C
と求まります。

t=tanx2という置換で計算

t=tanx2とすると、dtdx=12cos2x2です。
ここで、
1+tan2θ=1cos2θ
を使うと、
dtdx=12(1+t2)
です。

また、①と倍角の公式から
cos2x2=11+tan2x2=1+t2cos2x2=1+cosx2
だから、
1+cosx2=1+t21+cosx=21+t2cosx=1t21+t2
となります。

部分分数分解と以上のことを使い、
1cosx dx=1+t21t221+t2 dt=21t2 dt=(11t+11+t) dt=log|1t|+log|1+t|+C=log|1+t1t|+C=log|1+tanx21tanx2|+C
となります。
さらに、三角関数の相互関係、倍角の公式、半角の公式を”うまく”使うことで、
log|1+tanx21tanx2|=12log|1+sinx1sinx|
となります。

三角関数の有理式の積分は、有理関数の積分に帰着します。

前置きが長くなってしまいましたが、要するに本記事で言いたいことは

三角関数の有理式の積分は、有理関数の積分に帰着する。

ということです。

主張の明示

定理2.

R(z,w)が2つの文字z,wの有理式である時、tanx2=tとおけば R(cosx,sinx) dx=R(1t21+t2,2t1+t2)21+t2 dt が成り立つ。すなわち、三角関数の有理式の積分は有理関数の積分に帰着する。

この定理2.が強力なのは、

如何なる三角関数の有理式の積分も、必ず有理関数の積分として計算が可能である。

といことで、たとえどんなに複雑な三角関数の有理式であっても必ず有理関数の積分として計算ができる、と言っているわけです。

主張の証明

では、証明します。

定理2.の証明

大したことありません。
前述した例1.での計算と同じようなことをするだけです。

dtdx=1+t22です。
また、三角関数の相互関係、倍角の公式、半角の公式を駆使することで
cosx=1t21+t2sinx=2t1+t2
が求まります。
ここで、置換積分を使います。

定理3.(置換積分)

関数f:I=[a,b]Rφ:J=[α,β]Rが次の1.から4.を満たすとする。
  1. fIで連続である。
  2. φJで微分可能である。
  3. φJで有界かつ可積分である(例えば、連続)。
  4. φ(J)I, φ(α)=a, φ(β)=b
このとき、 baf(x) dx=βαf(φ(t))φ(t) dt() が成り立つ。

定理3.の証明は【解析学の基礎シリーズ】積分編 その18を御覧ください。

定理3.により
R(cosx,sinx) dx=R(1t21+t2,2t1+t2)21+t2 dt
が成り立ちます。

定理2.の証明終わり

もう一つ例を挙げます。

例4. 1sinx dxを計算してみます。
t=tanx2とすると、dtdx=1+t22であり、sinx=2t1+t2だから、
1sinx dx=1+t22t21+t2 dt=1t dt=log|t|+C=log|tanx2|+C=log|2sinx2cosx22(cosx2)2|+C=log|1+sinxcosx|+C
となります。

皆様のコメントを下さい!

このブログで一貫している(または意識している)ことに、「命題や定理の主張を一言で表す」があります。
今回でいうと、定理2.

三角関数の有理式の積分は、有理関数の積分に帰着する。

と一言で表現しました。
一言で表すわけですので、必ずしも厳密ではないです。
しかし、一言での表現をすることはイメージの湧きやすさや何処で使うかということが分かりやすいと思います。
ちなみに、筆者はこの一言表現が出来るというのが主張を理解しているかの指標になると思います。

どの定理にもこの「一言メッセージ(?)」みたいなことを書いてくれると筆者個人としては非常に嬉しいのですが、必ずしもそうではありませんよね。
しかも、主張が複雑だと「結局何を言ってるの?」となります。

皆様は一言メッセージ(?)で主張を表現したことがありますか?
どの定理をどう表現しましたか?
是非コメントで教えて下さい!

今回は、三角関数の有理式の不定積分の計算方法について解説しました。
三角関数の不定積分の有理式の計算は、tanx2=tと置換することで有理関数の積分に帰着されます。

次回は、二次の無理関数の不定積分の計算について解説します。

乞うご期待!
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この記事の内容をより詳しく知りたい方は以下のリンクの本を参照してください!
ちなみに「解析概論」は日本の歴史的名著らしいので、辞書的にもぜひ1冊持っておくと良いと思います!

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