本記事の内容
本記事は、共役類の基本的な性質と類等式について解説する記事です。
本記事を読むにあたり、軌道、中心化群、共役類について知っている必要があるため、以下の記事も合わせてご覧ください。
↓群作用、軌道の記事
↓正規化部分群、中心化群、共役、共役類の記事
正規化(部分)群、中心化群、共役類の軽い復習
正規化部分群、中心化群、共役類の軽い復習をします。
正規化(部分)群
正規化(部分)群
HHを群GGの部分群とする。 NG(H)={g∈G|gHg−1=H}NG(H)={g∈G∣∣gHg−1=H} と定め、このNG(H)NG(H)をHHの正規化(部分)群という。中心化群
中心化群
HHが群GGの部分群とする。このとき ZG(H)={g∈G|∀h∈H, gh=hg}ZG(H)={g∈G|∀h∈H, gh=hg} をHHの中心化群という。また、 Z(G)=ZG(G)Z(G)=ZG(G) と書き、GGの中心という。x∈Gx∈GでH=⟨x⟩H=⟨x⟩のとき、ZG(H)ZG(H)の代わりにZG(x)ZG(x)とも書き、xxの中心化群という。共役、共益類
共役、共役類
群GGの要素x,yx,yに対して、あるg∈Gg∈Gが存在して、y=gxg−1y=gxg−1となるとき、xxとyyは共役であるという。xxと共役である要素の集合をxxの共役類といい、C(x)C(x)と書く。正規化部分群、中心化群、共役、共益類についての詳しい説明は【代数学の基礎シリーズ】群論編 その16を御覧ください。
共役による作用の軽い復習
GGを群、X=GX=Gとします。
g∈Gg∈G、h∈Xh∈Xとするとき、Ad(g)(h)=ghg−1Ad(g)(h)=ghg−1と定めます。
g1,g2,h∈Gg1,g2,h∈Gなら、
Ad(g1g2)(h)=(g1g2)h(g1g2)−1=g1(g2hg−12)g−12=Ad(g1)(Ad(g2)(h))Ad(g1g2)(h)=(g1g2)h(g1g2)−1=g1(g2hg−12)g−12=Ad(g1)(Ad(g2)(h))
です。
G×XG×XからXへの写像を(g,x)↦Ad(g)(x)で定めると、これは左作用になります。
この作用のことを共役による作用といいます。
共役類の基本的な性質と類等式
本題です。
定理1.
Gを有限群とする。- x∈Gならば、|C(x)|=|G||ZG(x)|である。また、C(x)={x}であることとxがGの中心Z(G)の要素であることは同値である。
- (類等式) 等式|C(x)|=∑|C(x)|が成り立つ。ただし、和は全ての共役類を重複なく数えるとする。
定理1.の証明
1.の証明
群GのGへの共役による作用を考えます。
x∈Gに対して、Ad(g)(x)=xであることは、gxg−1=xであることと同値です。
したがって、この作用に関するxの安定化群はZG(x)です。
またxの軌道はxの共役類{gxg−1|g∈G}です。
ここで、以下の事実を使います。
命題2.
Gが集合Xに作用するとする。x∈Xであるとき、集合GxとG/Gxは、対応 G/Gx∋gGx↦gx∈Gx により、一対一対応する。故に、|G|<∞ならば、|Gx|=(G:Gx)=|G/Gx|となる。命題2.の証明は【代数学の基礎シリーズ】群論編 その15を御覧ください。
命題2.から、
|C(x)|=|G||ZG(x)|
が得られます。
C(x)={x}であることは、任意のg∈Gに対してgxg−1=xであることと同値です。
これはgx=xgと同値なわけですので、x∈Z(G)と同値です。
2.の証明
共役類は同値類でした。
以下の同値類の性質を使います。
定理3.
x∈Xと同値な要素全体をCxと書き、これをxの同値類(equivalence class)という。すなわち、 Cx={y∈X∣x∼y} である。 このとき、次が成り立つ。- x∈Cx,
- Cx∩Cy≠∅⇒Cx=Cy,
- Cx≠Cy⇒Cx∩Cy=∅,
- ⋃x∈XCx=X,
- x,y∈X, x≠y, ⇒ Cx∩Cy=∅

定理3.の証明は【論理と集合シリーズ】その7を御覧ください。
さて、定理3.から、Gは同値類の直和なので、2.が得られます。
定理1.の証明終わり
Gが有限群のときの類等式についてちょっと深堀り
定理1.により、Gが有限群であれば、類等式は次の制約を受けることがわかります。
- 類等式の右辺には必ず1が少なくとも1回は現れる。
- 類等式の右辺に現れる数は全て|G|の約数である。
- 類等式の右辺に現れる1の数は|G|の約数である。
1.は単位元1Gの共役は1Gしかないことからわかります。
2.は|C(x)|は|G|の約数であることからわかります。
|C(x)|=1であることはx∈Z(G)と同値なので、類等式の右辺に現れる1の数は|Z(G)|です。
3.はこのことより従います。
このようにある式が類等式かどうかを1.、2.、3.を用いて調べることを自明な考察と呼ぶことにしましょう。
例えば、|G|=3なら、3=1+2は2.が成り立たないので、自明な考察により類等式ではありえません。
皆様のコメントを下さい!
今回はカントールです。
カントール(Cantor, Georg;1845–1918)はロシアのぺテルスブルグ生まれのユダヤ人数学者。
集合論の創始者です。
1856年にドイツに移住。
チューリッヒとベルリン大学を卒業後ベルリンで学位を得ました。
1879‐1905年Halle大学教授を勤めましたが、晩年には研究による極度の緊張から精神を病み、1918 年に病院で逝きました。
フーリエ級数展開の一意性に関する研究から集合論を創始しました。
1874年に濃度の概念を導入しました。
無限を実在のものと捉え、しかも無限の種類が1つではないことを言いきったことは、当時の数学界に衝撃を与えました。
クロネッカーは集合論に反対する立場を取り、カントールを苦しめましたが、デデキントやミッタグ‐レフラーにより支持を受けました。
ユークリッド空間の一般の点集合を扱い、集積点、開集合、閉集合の概念を定め、位相空間論の出発点を確立しました。
学界の頑迷さに対抗して、「数学の本質はその自由性にある」と叫んだといわれています。
如何でしたか?
今現在さも当然のように使っている集合という概念はカントールが創始したのです。
誠に偉大ですね。
ここに書かれれいることの他に、カントールについてご存知のことがあれば是非コメントで教えて下さい!
結
今回は、共役類の基本的な性質と類等式について解説しました。
どちらも有限群(要素が有限個の群)をより深く理解する上で良い武器になります。
次回は対称群の共役類の初歩について解説します。
乞うご期待!
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